第392話 ゲリィさんの代わりをお願いしてみよう
「わからん。
一度も成功したことがないからな。
きっと、できることもあるだろうが……
やめといたほうがいいぞ」
「元の武器が壊れたりしますか?」
「いや、大体は、元のままだったり、素材だけなくなったりだな」
「じゃ、試してみてもらっていいですか」
「うむ、そうか。
俺は、いいが、エドワードは無理そうだな」
「せ、拙者は、限界でござる」
見る限り、疲れ切ってるエドワードは、その場に座り込んでいた。
「じゃ、お前が、持ち手をやれ。
あれなら、疲れないからな。
魔法は、唱えられるんだろ」
「わ、わかったでござる。
やってみるでござる」
どうやら、やってもらえるみたいで、それぞれが準備に取り掛かってくれた。
金属の容器に片手剣をいれて、エドワードが、魔法をとなえて冷やそうとしたが、急激に冷やしすぎたせいで、剣に亀裂がはいった。直ぐにゲリィさんが、剣を上にあげた。
「おっと。急激に冷やしすぎた。
砕け散るぞ」
再度同じように、試してみたが、剣の亀裂が拡がるばかりで、どうにうまく溶かせそうなかった。
いったん、剣を下に置き、首を横に振りながら、僕のほうを見上げてきた。
「駄目そうだな、こりゃ。
諦めて、日を改めるかい?」
ゲリィさんの後ろから、今までみていたナナさんが口を開いた。
「まって、私が代わりにやるわ」
「嬢ちゃんがかい。
それでも、いいが、
あぶなそうだったら、直ぐにやめさせるからな」
「ええ、それで構わないわ」
僕は、不思議そうに、
「ナナさんが魔法を使えるなんて、知らなかったです」
「冒険者は、だいたい魔法を使えるわよ。
ただ、戦闘のメインに置かないだけよ。
りぃちゃんほどじゃないけど、どちらかというと得意なほうだわ。
みてなさい」
「お願いします♪」
自信満々に答えるナナさんとは、裏腹に、ここにいる全員は誰も期待していなかった。僕は、一縷の望みをナナさんに掛けるしかなかった。
あれ、これ僕でもいいんじゃないのかな。




