第390話 ショートソードを作ってみよう
中は、小屋から鍾乳洞の入口に繋がっており、まるで小さいとは真逆だった。
「どうだ、坊主驚いたろ」
「ええ、この人数じゃ手狭かと思ったんですが、
数件分の家が収まるくらい広いですね」
「私も何度かお邪魔してますが、その都度、広くなってます♪」
なんだ、拡げていってるのか、そのうち崩壊しそうだな、ここ。
とはいえ、小屋の中の鍾乳洞を抜けて、大きな洞穴の中には、平屋の家が4軒作られていた。各家には、看板がつけられており、右わきの二軒は、剣と鎧の看板がつけられていた。一番大きな正面の家?工場には、鍛冶屋の看板がつけられていた。
何もつけられていない家は、普通の家なんだと思う。
辺りを一通り見終わると、さっそく、一番大きな建物に誘導していかれた。
「ここじゃ、はいってくれ」
鍛冶場の中に入ると、30畳ほどの部屋の中には、鍛冶使うであろう物がいろいろと置かれていた。
「すごい設備でござるな。
さすがおじじ殿でござる、
王都とそれほど、かわらない設備でござる」
「そりゃそうだろうな。
あっちで作ったものを分解してこっちで設置しなおしただけだからな」
「へぇ~
そんなことができるんですね」
「まぁ、俺ほどになればな。
設備は、良いとしてさっそく作ってみよう。
半時もしない間に完成するからな。
よし!エドワード手伝え」
「了解でござる」
エドワードは、鎧防具を全て抜き去ると、ゲリィさんのもとに走っていった。
彼は、小さな小箱を取り出すと何かを探し始めた。
「さてと、あの指輪はどれだったっけかな」
小箱の中にはいくつもの指輪がはいっており、その中から、一つを取り出すと、
「おお、これだ、これだ」
「それで、何をするでござる」
「この指輪をアダマンタイトで作る武器に融合するのだ。
さすれば、この指輪のスキルが、アダマンタイトで作る武器に宿る……ことがある……かもしれない」
流石に、やどらんかったら?っていいたかったが、野暮なことは、出来上がるまで待つことにした。
「このアダマンタイトだが、雷や火、高熱にめっぽう強いが、冷やされると、めっぽう脆いんだ」
「知らなかったでござる。
王国では、最上級の高熱で溶かして、作ってたでござる」
「ああ、そのやり方でもいいんだ。絶対、失敗しないからな。
だが、何人も必要だし、ここ以上の設備が必要になるからな。
さぁ、みてみろ」
彼は、金属の箱にアダマンタイトの原石を置くと少しずつ氷魔法を唱えていった。徐々に冷えていくと金属の箱に霜が張っていき、アダマンタイトの原石は、少しづつ形を保てず液状化していった。
「ほ、ほんとでござる。
まさか、冷却にここまで、弱かったとは、盲点でござる」
「だろう。
俺も、エールを中にいれて飲もうと思って、入れた瞬間に砕け散った時は、びっくりしたぜ」
大体の惨状が目に浮かぶが、わざわざアダマンタイト製のジョッキのコップで飲まなくてもいいんじゃないだろうか。
「さて、完全に液状化したな。
冷やしすぎるとさっき言ったように砕け散るんだ。
で、ここで、指輪を投入だ」
彼は、手に持っていた指輪を液状化したアダマンタイトの中に投げ入れると、
「融合」
指輪は、中に埋もれるというより、溶けて広がっていくようだった。
「さ、準備は、できたぞ。
エドワード、これで、叩いて形を整えろ」
彼は、温度を少し上げて、また一度塊にしながら持ち手を作り、再度、徐々に溶かして、棒状に作り替えていった。
エドワードは、隣で、アダマンタイト製大槌で、棒の傍らを叩き凸凹を滑らかにしていった。
しばらく眺めていると、どんどんと形が作られていき、あっという間に、片刃のショートソードが完成した。




