第386話 チャチャさんと一緒に更衣室で着替えてみよう
「今度は、どんなところなの?」
「近場は……
いえ、先ほどは、川と山だったと思いますが、次は、川と海が同時に楽しめると、話題になってる場所です」
最初に言いそうになったことは、聞かなかったことにしたが、川と海の組み合わせは、今まで経験したことがなかった。
「へぇ、それは、楽しみだね」
「あ!
そうなんですね♪
一軒人気が出てから、その両脇に連なるように旅館がたったんですけど、いいと思います」
「その連なりだと……」
「真ん中の風景は川しか見えません。
海側の旅館は、川と海が楽しめますが、山側は、前より悪いんじゃないかって言われてます」
「だよね。
最初にできたとこってぐらいしか、真ん中の旅館はいいところが見当たらない……か」
「ってことで、
紹介するのは、海側ってことで、いいですよね」
僕は、釈然としないけれど、
「最初の旅館の人には申し訳ないけど、
そうしたいかな」
「了解です!
じゃ、早くいきましょう♪」
今度は僕の腕を絡めると、川沿いに向かって歩き始めた。
時折当たる胸がこの後、一緒にはいると考えると、大きさが想像でき、頬が赤くなるのが自分でも手に取るように判った。
「どうか、しました?」
「いや、ちょっと……
さっきの露天風呂に、居過ぎたんだと思う」
「結構、弱いんですね、
意外です♪」
「そうかな……」
そんな気持ちのはいらないやり取りをしていると、乱立している建物が見えてきた。
実際には、三軒なのだが……
明らかに後勝ちと思える建物で、海側の旅館だけが混雑しており、次に山側、真ん中は明らかに人気がなかった。
自分も同じような結論をだしていたのだが、思っていた以上に真ん中の旅館の状況は悲惨で、最初に建てた旅館の人たちが可哀そうに思えた。
「これは、流石に……
なんとかできないのかな」
「無理なんじゃないんでしょうか。
あ、ちょっと、宿の人に話してきますね」
彼女は、小走りで海側の宿にいる偉そうな人に話すと、一緒に戻ってきた。
「ありがとうございます。
うちを利用していただけるということで。
これで、更にあっちの旅館と差ができます♪」
「え、いや。
ちょっと、少しだけ、どんなもんか、比べさせてもらうだけです」
「で、ヒビキさん、
申し訳ないんですが、ここは、全室同じ感じの部屋で大浴場があるだけの宿なるそうです」
「そうなんだ。
僕は、全然かまわないよ」
「あ、そうですか。
それは、助かります。
では、ご自由にお使いください。
私は、ここでお客様の相手をしておりますので。
大露天風呂は、フロントの奥に抜けたところになります」
「判りました。
では、堪能させてもらいます」
僕は、フロントを抜けて、更衣室に入ると、それほど大きくないせいか、全て使われており、開いているところが見つけられなかった。
「結構混んでるっていうか、
かなり、こじんまりだね」
「そうですね。強引に作ったせいなのかもしれませんね。
元々は、この先の露天風呂も、隣の旅館の元だったみたいなんですけど、
三つに分けたせいで、小さくなったみたいです」
「それは、悪いところしかないね」
無駄話をしていることで、大浴場から男女の二人組が戻ってきた。
「狭かったね、
あの人数だと、入り切れてないよね」
「そうよね、他の宿のほうがよかったかしら」
「だな、今から他の場所に変えるか」
「ええ、そうしましょうよ」
二人が着替え終わり、更衣室からでていくと、代わりに場所を使わせてもらうことにした。
「どうやら、かなり混んでるみたいだね」
「そうですね、どのくらいなんでしょ
早く、いってみましょう♪」
隣で、一枚一枚と脱いでいく様子を横目でみているのが、バレそうなので、急いで全部脱ぐと後ろをふり返らずに、外にある露天風呂に歩いて行った。




