第383話 いかぽんとえびぽんを食べてみよう
込み合っていう様相は、なんだか楽しそうで、こちらも浮かれる感じになっていった。
「どれも、取り放題、食べ放題って素敵ですね。
結構、お金がかかりそうですね」
「大丈夫ですよ。
村のギルドではなく、大陸全体のギルドから、出ますので、問題ありません」
「なんか、ザジさんは、賭けをしてたみたいだけど、
そのへんは、大丈夫なの?」
チャチャさんは、僕の目を見てにこりとほほ笑むと、
「事前に、お話してるので、大丈夫ですよ。
あ!!
あそこに、いかせんべいがあります。
えびせんべいもあるようですけど、
どっちがいいです?」
魔法を使って、強引に押しつぶして、小麦粉と魚介で薄い一枚のせんべいにしているみたいだ。
「じゃ、イカかな」
「買ってきますね、待っててください」
屋台の前には、三人ほど待ってるだけで、チャチャさんが並ぶとすぐに番がやってきて、二枚ほど受け取っているようだった。
「出来立てで、あつあつで、美味しそうですよ♪」
チャチャさんから受け取ったイカせんべいは、押しつぶされたことによるせいか、手で持ち続けるには、熱過ぎるくらいだった。
僕は貰ったイカせんべいを一口食べると薄く塗られたたれの甘みと、イカのうまみが口に広がった。
「おいしいね。
はい」
僕は、自分が食べていたものを彼女に渡し、彼女が一口食べていたものと交換してもらった。
彼女が食べていたエビせんべいを一口いただくと、味付けは同じだったが、エビの香ばしい香りが広がった。
香りならえびで、旨味ならイカかなぁ。
「イカも、おいしいね。
なんか、飲み物が欲しくなりますねぇ~。
あ、ちょっと待っててください」
彼女が向かった先には、氷でいっぱいのケースに瓶がたくさん刺さっていた。そのうちの二本をもってやってきた。
「ここの特産のペールエールです。
とっても、おいしいですよ♪」
歩きながら、一つ手渡しで受け取り、キンキンに冷えてるエールをごくりと飲むと、五臓六腑にしみわたっていく感じだった。
「香りがいいね、それに炭酸も。
でも、一番は、冷えてるからかな、よりおいしく感じる」
「ええ、わたしも大好きです。
飲み過ぎに注意です♪」
あっという間に、飲みものが終わり、今度は、歩きながら、軽く食べれるフルーツの盛り合わせをもらってきたようで、メロンの器の中には、いくつもの果物が丸く切られてはいっていた。
形や色だけでは、どの果物なのかわからないが、何も考えずに、パクパクと口に入れていった。どれもよく冷えているにも関わらず甘みが感じられた。
「ここは、食べ物しか、出店はないんだね」
「そうですね。
たまに木をけずったおみやげ物ちっくなものは、ありますけど、興味あります?」
「まぁ、見るかぎりには。
そろそろ、出店も終わりだね。
みんな楽しそうだったね」
「ですね。
もっと時間がたつと話も更に伝わって混んでいくと思いますよ。
あっちの通りにも、出店があるんですが、
とりあえず、村一番のホテルに行きましょう、この近くです」
僕は、チャチャさんに両肩を押されながら、混雑が終わりかけた大通りを抜けていった。




