第380話 シュシュさんの話を聞いてみよう
あっという間に、何事もなかったかのように、がやがやし盛り上がっていた。いたるところで、これまでの憂さ晴らしを晴らすぐらいに飲めや歌えと騒ぎ始めいた。
「まだ、昼過ぎだというのに、みんな、浮かれてるわね」
そんなナナさんも、既に二杯目をお代わりして、三杯目に行こうかとしていた。
近くにいたザジさんは、ギルド職員に連れられてギルドのほうに向かってゆっくりと連れて行かれた。代わりに壇上で訴えていた美女が、僕のほうにやってきた。
「ヒビキさん、ご迷惑をおかけしました。
おかげで、おじいちゃんを懲らしめられました」
「ほんとにあれでよかったの?」
「ええ、あれぐらい大きく発表してしまえば、
あとで捏造だっていえないですからね♪」
「まぁ、そうなのかもしれないけど。
君のの祖父なんでしょ?」
「そういえば、名乗ってませんでしたね。
チャチャです。よろしく、ヒビキさん♪」
そういって、とっきりの笑顔で手を差し伸べてきたときに、顔をよく見ると今までにあった彼女たちとそっくりだった。
「長かったんで気づかなかったですけど、
ムラサキさんやみかんちゃん、モモと親せきですよね?」
「ふふ、シュシュが姉になりますよ。
ツーモンの村でギルド員をしてたと思いますが、
お会いになりませんでした?」
「ええ、しっかりあってます。
そういえば、誰かの姉って言ってました」
「うちの家系では、ヒビキさんの話で盛り上がってますよ」
「そ、そうなんですか……」
僕は、出された手を軽く握り、照れくさくて、彼女から顔を逸らすと、二階にいたイノさんが目に入った。
そういや、イノさんの目的は、魔王のいるところだったっけ。
この村でお別れになるんだなぁ、それが明日、お別れだと思うと寂しくなるなぁ。とはいえ、場所は、抑えて置かないといけないよね。
僕は、彼女の手を放し、聞いてみることにした。
「この村から、魔王のいるところに行けるんですよね?
「ええ、ですが、次の目的は魔王のところでは、ないですよね」
「一緒にいる仲間の目的がそこなんですよ」
「そうですか。
じゃ、こっちです。
ご案内しますね」
「はい、よろしくお願いします」
既に、出来上がってる二人に声をかけると
「魔王の住処に行く道を案内してもらうことになったよ。
いく?」
「ええ、いいわよ」
「わかったでござる」
僕らは、チャチャさんについて、人で賑わう屋台から、もみくちゃにされながら、出ていくことにした。




