第379話 身内を弾劾してみよう
続々と住宅街から、半被をきた男女がやってくると、どんどんと開店の準備を始めた。
準備を始めると、ぞくぞくと人が集まってきて、さっきまで、僕たちしかいなかったと思えないほどの活気がではじめた。
時折、ギルド長に本当に配布されるのか聞いてきた人たちもいたが、時間がたつにつれ、しょぼくれているギルド長を置いて、盛り上がり始めた。
僕は、その中で、一番の高台にギルド長とともに上がると、
「今日は、物資が届いた祝いということで、ギルド長のザジさんのおごりとなります。
彼に感謝をして、平和をいわいましょう!」
ぼくに、促され、悲しそうな目で見つめ返したが、諦めて、みんなの前で話始めた。
「きょ、今日からは、普段通りに生活できるようになるのじゃ。
それも、全てギルドのおかげじゃ。
そして、今日はそれを祝い全てをギルドから、奉仕させてもらうのじゃ。
今宵は楽しんでほしいのじゃ!」
僕は、こころに引っかかるものがあったが、いっぱい買い物をしてもらったことで、水を差すことはしなかったが、歓声をあげている人々の奥から、鶴の一声が発せられると、一瞬で静まり返った。
「ギルド長 ザジ!!
あなたを告発します!!!」
それは、ギルド職員の全員が、一丸となり、僕に小声でお願いをした長髪の美女だった。
「あなたは、個人の感情の赴くままに、市政とギルド運用を行い、私財を肥やしました。
また、先度も、個人での支払いではなく、勝手にギルドからの費用としたこと、ギルドを収めるシルバ様に相談させていただき、
ザジを一度、ギルド長から、解任することにきまりました!」
「ば、ばかなぁ……」
膝から崩れ落ち、地面に手をつけてるザジさんに更なる仕打ちがまっていた。
「本日、ヒビキ様一行がお使いになったお金は全てあなたがお支払いください。
また!!
あなたの資材は全てギルドが没収となります!」
「そ、それじゃ、払えないんじゃ・・」
僕は、思わず突っ込みを小声で入れたが、静まり返った場では、しっかりとみんなに聞こえていた。
「今から、一職員として、働いてお返しください!
これは、シルバ様からの厳命です!」
「ぐふぅ、
そんなぁ、ばかなぁあ」
いい年をとった大人が、周りを顧みず泣き崩れる姿は、見てはいけないものを見た感じで誰も直視できなかった。一人を除いては。
そして、激しい弾劾をした美女は、ザジさんにかけよると、優しい目をして、
「さ、おじいちゃん、一緒に謝ろ♪
みんな許してくれるから」
「わし、そんなひどいことしとらんのに。
ほ、ほんの少し贅沢と権力を傘に、自由気ままにすごしただけじゃ」
その一言で、優しい目から、三白眼の目になると、
「助けてあげないわよ!」
「すまんのじゃ、ほんとに反省してるのじゃ」
若い乙女にしがみついて、泣き謝る姿は、この人にプライドのなさが垣間見えた。
二人揃ってならび、深々と全員に頭を下げると
「うちのおじいちゃんが迷惑をかけてごめんなさい。
今日は、私たち家族でお支払いしますので、みなさんで楽しんでください。
また、これを実現してくれた、ヒビキ様一行に盛大な拍手をお願いします!」
彼女が、僕らを紹介すると、露天の周りから盛大な拍手と声援が送られ、そのまま、宴へと移って行った。




