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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第三部 巨獣討伐
375/545

第375話 武器屋でアンナに武器を買ってあげよう

 僕が、問答を繰り返してる横で、ナナさんも話に参加し始めた。

「ヒビキ君、その辺にしたら、

 おじいさんが可哀そうよ」

「そうでござるよ」

 僕は、二人に聞こえるぐらいの声で、若いギルド職員のことを告げた。


 その後、ギルド長に聞こえるように、会話をすることにした。

「そうだね、今日、何をしてもシルバ様持ちだから、

 思う存分、買い物をしまくろう」

「こっちのギルド持ちじゃというのに……」

 悲しそうな肩を落としているギルド長をみながらも、まだ事態は全て理解しきれていない以上、追撃の手を緩める気にならず、何も気にしないまま、買い物に勤しむため、商店街に向けて歩き出した。


 ギルドをでて、辺りをみまわすと、直ぐに、武器屋の看板が目に入った。

「あれ、武器屋ですね。

 見てみたいです」

「そう、ヒビキ君?

 そういや、杖はいいけど、剣はヒビキ君にあってなかったわね。

 買い替えてもいいかもね♪」

「それなら、拙者が、作ってあげるでござるのに」

「エドワードのだと、重いやつばっかりじゃないの?」

「切れ味は保証するでござる!」

「私も重いのは、嫌だわ」

「……わしも高いのはいやじゃ……」

 一番後ろで、ぎりぎりみんなに聞こえそうな小さな声が聞こえた気がするが、気にせずに店に入っていった。

「おう、いらっしゃい。

 お、ザジさん、今朝言ってたやつ、まだやってなかったよ。

 すまんねぇ~。

 もう少し後でいいのかい?」

「や、や、や、や、なんの話じゃかな」

 あからさまに動揺してるギルド長に店主は追い打ちをかけていた。

「あれだよ。

 高いやつ全般を倉庫にしまっといてくれってやつ。

 夕方前でいいだろ。

 ははは」


 僕は、後ろを向いて目線を合わそうとしないギルド長に、

「へぇ~、そんな依頼あったんですね?」

「なんのことですじゃかな」

 僕にしか聞こえないように発言するおじいさんに、追い込みをかけることにした。

「隠そうと思ってたものを、紹介してもらっていいですか?」

「ぎゃ~~~」

 悲惨な叫び声も、みんなに聞かれたくなかったのか、直ぐに、手で塞いで叫び声で小さくなると、近くにいた僕にしか聞こえてなかったようだ。


 武器屋の店長は、カウンターの後ろにある立派な斧槍を指さした。

「一番は、この英雄の戦斧だな。

 ハルバートに近いものだな。

 ユニークスキルに確定ダメージがついてるから、

 当たらなくても相手を倒せることができるすげぇ武器だ。

 過去10年で、これを超えるものはないな!

 まぁ、城が立てるほど高いがな、がぁっはっはっは」

「じゃ、もらおうかな……

 ナナさん、これ、どう?」

「私には、邪魔かな。ちょっと重たいし。

 遊ぶには、おもしろそうだけどね。

 そういう意味では、いいかもね♪」

「そ、そ、そ、それは、ふ、不要じゃろ。

 おねがいですじゃ」

 あからさまに涙を流しかねないギルド長が哀れに思え、

「そう?

 じゃ、諦めようかなぁ」

 他には、ある?」

「あんまりないなぁ~

 少しいい奴ならこれかな。

 最近エルフで、発掘されたばっかりで、売りに店にきたやつだ」

 店主は、カウンターの奥で束になっておかれている中から、鞘の装飾が美しい銀色の細い剣をとりだした。

「レイピアだ!

 素材が不明でな、金属ではないな。

 だいぶ扱いが難しくてな、人を選ぶとは思うな。

 少しでも、変な扱いをしたら、剣が折れるほど剣幅が薄い。

 だが、切れ味は、良いし、羽ほどの軽さだ」


 ナナさんは、鞘から抜いて剣をみて一振り二振りすると、

「エドワードの折れた剣みたいね」

 確かに、前にエドワードが使い切り用の剣にだいぶ近かったが、剣幅はより薄く、斬るにはまるで向いてなかった。


 ナナさんが、物欲しそうなエドワードに手渡すと、顔の近くで値踏みしているようだった。

「拙者が扱ったことのない素材でござるな」

 エドワードが、剣先をつまみ強度を確認しようと、折り曲げると少しだけで、直ぐに、パキンと音を立てて真っ二つに割れた。


「ぎゃーーー、買い取り」

 後ろで、絶叫がしたかと思うと、直ぐにとほほと悲しむ声が聞こえたが、振り向く必要などなかった。


 そんなギルド長に対し、店主は笑顔で、

「ははは、きにすんな。

 買い取りじゃなくていい。

 これは、折れたものを鞘に入れておけば、一日で元の形に戻る。

 再生のユニークスキルがついてる」


 後ろで、深い安堵の声が聞こえたが、

「はぁ、よかったですじゃ」

「これ、貰います!!」

「毎度!!」

「な、なんとですじゃ」

「ヒビキ君、そんなの使うの?」

「僕は、使わないけど、アンナにあげようかと」

「また、そんなことしちゃうと、リィちゃんが、いじけるわよ」

「リイナとアドアにも、他になんか、買ってあげようかと思ってます。

 せっかくなんで!」


 僕の発言を聞くとあからさまに、嫌そうな顔をし始めた。

「はぁぁ、シルバと賭けなんかしなきゃよかった……」

 聞き捨てならない言葉が聞こえたが、今は、追及しないことにした。


 僕は、バックから、最近とんと使えていないミスリルの剣を店主の前のテーブルに置くと、

「ねぇ、この剣よりも、いいものある?」

 店主は、鞘から剣を抜きとり、両面を確認し、一振りすると、

「ほぉ、悪くはないが、

 中級の冒険者用だな。

 だが、

 悪いが、ここには、これを超えるものはないな。

 すまんな」

「やったぜ、いえす、いえす!」

 振り返ると、じじいは、急に元気になると、後ろで小さくガッツポーズをしていた。


「これなんか、どうだ。

 直刀の剣ではないが、重さはそれほど、切れ味は同等だが、敵に向けて投げやすい」

 店主がだしたものは、漆黒のククリだった。ククリのほうが重く、小ぶりであったが、剣とは違って投げやすかった。

「当たる確率があがるユニークスキルがついてるから、少し外れた感じに投げても、当たる……かもしれない」

「全然違うから、いらないじゃよね」

「これも、貰う。

 他には、ないの?」

「ここには、これといったものは、ないな。

 奥の雑貨屋と骨とう品やに、変なものが入ったっていってたな。

 急げば、まだ、店にでてるんじゃないか?」

「ありがとう、行ってみるよ。

 じゃ、ギルド長、お会計は、任せたね。

 僕らは、奥の店にいってくるから、後で追いかけてね」

「お、ザジさん、お金は、金貨15枚でいいよ。ククリ分は無料にすっから」

「ぐはっ」

 膝から崩れ落ちたギルド長をおいて、買い物を続けるため次の店に移動することにした。

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