第371話 山の頂から、大陸全土を見渡してみよう
ゆっくりと風に浴びながら、全ての食事をおなかに収めると、あっという間に居なくなったモンザ師匠は、どこまで行ったんだろうと気になった。
「ちゃんと、モンザさんは、隣の大陸に向えてるんですかね」
「おやじ殿がいる水上都市でござるか。
ちゃんと伝えたでござるよ」
「そうだっけ?」
「ナナ殿が、私の酒が飲めないのかといった後でござる」
「じゃ、そんな出来事は、なかったんじゃない。
私、そんなこといってないし」
そういえば、そんなことも言った気がするかも。
「確か、コーヌモンの都市の大橋を渡って、向うの大陸に行けるんですよね?」
「そうよ、よく知ってるわね。
リィちゃんとユカリと一緒に数日は、滞在したわね」
「ええ、あの時、ぶちぎれてたナナさんに聞きましたから」
「私は、言ってないっていったわよね、ヒ・ビ・キ・クン?」
僕は一瞬で食い気味に
「はい、風のうわさだった気がします」
「モンザさんのが山越えぶじできますかね?
もしかしたら、行った先で、リイナたちと会えちゃったりしますかね?」
「可能性は、あるけどねぇ。
山で迷子にならなければ、山頂までいけるだろうから、町はみえるんじゃないかな。
りぃちゃんたちも、私たちと同じくらいの距離を進んでるだろうから、彼女たちの後を通過するんじゃないかな」
さすがに、ナナさんは、冷静な思慮で頼りになると感心しなおし、
「じゃ、そろそろ、行きますか、あと少しですね。
あそこだったら、夕方前には、到着できそうですね」
「そうでござるな」
「じゃ、頑張って出発しよう」
「なんか、ナナさんのりのりですね。
どうも、次は温泉で有名なとこなんですって、シルバ様に聞いたのよ。
シルバ様も通ってて、数歳若返るっていわれてるみたい、うひひ♪」
「どうりで、シルバ様、年齢の割に若そうでしたものね」
「ねぇ、90歳には見えなかったわよね」
それは、担がれてるだけだよ、ナナさんと言いそうになったが、せっかく楽しそうなのに、水を差すのはいかがなものかと思い、口に出さないことにした。
山道を見てから辺りを見渡すと、左方では快晴で雲一つない空と海、地平線が広がっていた。あの先はどうなってるんだろうと目の上に手を置いて、遠くがみれるかとおもったけど、何も変わらなかった。
僕が、辺りを見渡してる間に、二人との距離が少し空いたため、急いで追いつき、3人で曲がりくねった道を、ゆっくりと一歩一歩進んでいった。
一刻ほど歩くと道中での最登頂部となり、これまで歩いた全て、大陸全土を見渡すことができた。
「高いわねぇ。
それに、空気が澄んでるわね」
「そうでござるな。
少し涼しい気もするでござる」
「あっちに、町があるお」
ギノさんが指した先は、今来た町で、僕らが期待しているのは、ナノさんが見てる町のほうだった。
「@煙でいっぱいだね@」
「そうね、湯煙っぽいわね」
階下には、人差し指ほどの村が見えていたが、そのあちらこちらで、湯気が立っていた。
僕は、さらに村の奥をみると大陸の最北端、旅の目的地と思われる町が米粒くらいの大きさで見えていた。
もう、リイナたちが待っていたりしてね。




