第370話 人の失敗は笑って許してあげよう
ナナさんは、足元で転げまわってる物体をほおっておいて、
「さ、ご飯にしましょう」
「モンザさんが、残してくれたものが、ありますから、
あれを食べて、もう少し進めば、あの山を越えられそうですね」
「そうね。
あれを、越えたら、村があるのかしら。
イノさん、知ってる?」
ナナさんは、バックから机や椅子、モンザさんが作った料理を取り出しながら、イノさんの気をまぎらわせようとしてるようだ。
「ゴメン コワシテ。
アッチ イッタコトナイ」
またしても、役に立てなくて、体を小さくしているイノさんに、追い打ちをかけるやつが現れた。
「まったく、役にたたないでござるな。
ものを壊したり、疫病神がでざるかもな」
ナナさんは、黙ってエドワードの首根っこを掴むと、思いっきり、崖に向かって投げ飛ばした。
「イッカイ シンデコイ!」
「し、死ぬでござる~」
崖の隙間から、エドワードの声が、聞こえたが、どんどんと小さくなっていき、直ぐに、水に落ちた音が聞こえた。
「ちょっと、ナナさん、流石に、やりすぎですよ」
「アア、オマエモ、シニタイノカ!」
「い、いえ、なんでもありません」
既に、魔物化はなくなったはずだが、怒り心頭の彼女は、誰がどうみたって鬼女にしか見えなかったが、これ以上絡むと絶対に、よくないことに巻き込まれそうだった。
全ての準備が終わると、びしょ濡れになりながら、エドワードが戻ってきた。
「し、死ぬかと思ったでござる」
「あんな、低いところから、落ちたくらいで、死なないでしょ」
「低くな――」
「――ア、アン、ナニカイイタイノカ」
「いえ、なんでもないでござる」
エドワードが言ってる通り、崖からのぞき込むと、かなりの高さがあり、上から下を見下ろすと息をのむぐらいの怖さがあった。
それでも帰ってこれる信じて投げれるんだから、強い信頼関係ができてるんだと思うことにした。
僕が、崖の上から、見たことで、ナナさんも興味が出たのか、同じように崖から下を見下ろしていた。
「こ、こわっ~。
よく、エドワード帰ってこれたわね。
思ってたよりも、何倍も高かったわ。
ごめんね、テヘ♪」
とても、可愛らしくウィンクして謝ったが、僕なら許せる範疇をかなり超えていた。
「えへへ、いいでござるよ。
あんな高さぐらい、拙者なら、余裕でござる、余裕」
「うふふ、素敵♪」
ナナさんが、エドワードの頭を撫でると、とろけるような笑顔になっていった。
あいつ、死にかかったっていってたのに、簡単だな。
とりあえず、誤解?もなくなったことから、落ち着いて、崖の上から眺めの良い風景を楽しみながら、美味しい食事と心地よい海風を満喫していた。
あと、間もなくで目的の村に到着し、次の町が、リイナたちとの旅の合流地点だと思うと、旅の終わりで、寂しい気持ちもありながらも、早く会いたい気持ちと胸の鼓動が止まらなかった。




