第369話 橋の上にあった戦利品をきいてみよう
山道を慎重に進んでいくも、暇となった僕は、一人事をつぶやいた。
「そういえば、昨日も、結局、まともな敵は、現れなかったなぁ」
他の二人も暇だったのか、話に乗ってきた。
「そろそろ、大物も、大分淘汰されたのかもしれないわね」
「そうでござるな。
モンザ殿も、バンパイア化しながらも、大量の魔物を倒していたでござるし」
そういえば、橋の上にいくつもの、宝玉や戦利品が散らばっていたな。
あれだけの敵を倒したとなれば、この辺の強敵は、ほとんどいないのかもしれないな。
僕は、一歩先を歩いて警戒してくれてる大猿モドキに声をかけた。
「イノさん、この辺強敵いるの?」
「イナイ
アサ モンザ ト タオシテキタ」
「そうなんだ」
きっと、あの人のことだから、お礼と思って、一通り倒してくれたんだろう。
義理堅いことだ。
「宝玉と戦利品は、モンザ殿から貰ったでござる。
迷惑をかけたからっていってたでござる」
ナナさんが、興味深々でエドワードに近寄ると、
「え、なに?
いいものあるの?」
「よさげなものは、なかったでござるな。
それなりに、ギルドで買い取ってもらえば、豪華な一日は過ごせるかもしれないでござるな」
「とはいえなぁ。
どこの町や村でも、別格で扱ってもらってるから、
お金に困ることはないよねぇ」
「確かに、そうよねぇ。
だいたい、英雄扱いだもんね
ありがたいことだわ」
「今までは、苦労していたんで、普通に受けれましたけど、
今回は、まったく苦労しないで、豪勢なのを受けるのは、ちょっと、気が引けますね」
「いいんじゃない。
どうせ、冒険者も来ないだろうから、閑古鳥がなってるだろうし。
ただで、英雄扱いが嫌なら、さっきの戦利品を寄付したら、どう」
エドワードがナナさんの発言を聞くと何かを思い出したかのようだった。
「それは、もったいないでござるな」
「なんで?
特にいいものは、ないんだよね?」
「一つだけ、不思議なものがあったでござる」
エドワードが、バックから取り出したものは、小さな家のような箱型で、真ん中に円を囲むように数字がふられていた。
「お昼ぐらいになると、真ん中から、鳥がでてくるでござる。
変なものが収集する貴族に売れれば、高く買い取ってくれるでござる」
ちょうど、お昼ごろだったのか、急に、白い丸部分が開くと、小さな鳥が、飛び出してきた。
イノさんが、興味津々で右手で、パンチをすると、箱ごと、崖の奥に飛んで行った。
「「「あっ!!!」」」
僕ら3人は、思わず大きな声で驚くと、
「ウゥ ゴメン」
体を小さくして、申し訳なさそうに謝るイノさんを見て、こちらのほうが、申し訳ない気分になってきた。
「まぁ、亡くなったものは、しょうがないわ」
「そうだよ、気にしないでね」
「だめでござる。
とってきて――」
これまでみた中で、一番の威力のげんこつの一撃が、奴の頭上に落ちたが、自業自得の一言以外フォーローする気には、なれなかった。




