第367話 彼のあらたな旅立ちを陰ながら祝ってみよう
夜通し続いたナナ嵐の影響で、説教やら罵倒やらお小言で、ひどく気持ちが落ちながら、彼女が眠りにつくまで、続いた。
耐え切れず、ステータス無効を変えて酔っぱらったせいで、どうやら、机に突っ伏して寝てしまっていたようだ。朝日に照らされて起こされたが、気持ち悪かったが、昨日心底悩んでいた禿げたおっさんが見えなかった。
更に辺りを確認すると彼のバックや調理台もなく、きれいに片されていることで、僕らに何も告げずに旅立ったんだと理解できた。
大きなテーブルの上には、昨日食べなかった塩がまの蒸し魚、ちゃんちゃん焼き、貝の焼いたものが、置かれ、一枚の紙が置かれていた。
暫くぼおっとしていると、ナナさんも、起きてきて手紙を読んでくれると、彼がモモに告白しに朝一で旅立ったことと、ナナさんや僕に感謝する旨が書かれていたようだ。
「あの人、モンザっていうのね。
ふぁぇえ~
それにしても、なんかすっきりしたわ。
頭にあったもやもやがなくなって生まれ変わったようだわ♪」
あんだけ、ぼろくそ言ってた相手の名前を憶えてないんだね。
「そっか、師匠旅立ったのか。
最後、挨拶してくれれば、よかったのに。
でも、そこが、師匠っぽいか……」
ナナさんは、きょとんとした顔をすると、
「師匠ってなに?」
愕然とし、僕の開いた口は閉まらなかったが、昨日の話をすると、拒絶し始めた。
「……、で、ナナさんが、僕を屑って――」
僕の話を聞くと曇った顔になり、両耳に指を突っ込むと、
「――あー、あー、ききたくない、言ってなーい、しらなーい」
ナナさんの絶叫で、眠たそうなエドワードが起きて来た。
「おはようでござる。
なんだか、にぎやかでござるな」
にぎやかっていうより、人がひってるよと思いながらも、僕は、モンザさんが旅立ったことやさっきまでのことを話すと、
「知ってるでござる。
明け方、がたがたしてたでござるから、
目を覚ますと、料理が終わって、片してたとこでござった」
「そうなんだ、
じゃ、見送ったんだ」
「そうでござる。
拙者らは、……意気投合したでござる。
抱き合って、今後の健闘を誓ったでござる!」
何の件で意気投合したのやら。
「で、そのまま、出ていこうとしてたので、手紙を書くように勧めたでござる。
それでも、嫌がってはいたようでござったが、書くことをきめて、うんうんうなってたでござる。
長引きそうだったので、拙者はそのまま、また眠ることにしたのでござる。
そうそう、刺身をうけとったでござる」
それは、タコのカルパッチョだったが、とてもおいしそうだった。
「おいしそうねぇ♪
さ、朝ごはんにしてましょう!」
「「は~い」」
ナナさんの号令のもと、モンザさんが最後に作ってくれた料理を食べる事にした。どれも美味しい料理で、彼は、格闘術よりも料理人への才能があるように思えた。お腹いっぱいに食べたが、それでも、量が多かったため、昼に残すことにしたのだった。
残った料理を弁当箱に再度きれいにしまい、野営を片して、出発することにしたところで、一匹の存在を忘れていたことに気づいた。
「そういえば、イノさんたちがいない」
「あら、ほんと。
姿が、見えないわね」
「@そう@」
「うしろだお」
「「わっ」」
僕らは、山の草むらから、顔を出したウサギと蛇を見ると、
「さっき、いた?」
「タッタ イマ モドッテキタ」
「やっぱり。
モンザさんのお見送り?」
「そうだお。
山の中を道案内してたお」
流石に、山道は迷いやすいだろうから、いけそうなところまで送ったのかな。
「なるほど、ご苦労様」
「@お腹すいた@」
ナナさんは、彼ら用の食料を3つ取り出し前に置くと、三者三様の食べ方で食事をとっていた。ナノさんは、小さなお口葉物をたべ、ギノさんは、小さいお肉を一口で丸呑みし、イノさんは、大きなブロック肉を一掴みにすると、頬張っていた。
彼らが、食べ終わるのを眺めて待って、本日中に行くであろう村へと出発することにした。




