第361話 修行を開始してみよう
最後まで聞いていたモンザさんが、最後の調理台を片付けると、
「う~ん
最後が、こうどう倒したかが、よくわからなかったな。
もっと正拳突きとか、中段蹴りとか、技名があったほうがいいな。
とはいえ、悪が滅びたってことだよな!」
「そうでござる。
そして、町は救われたでござる。
次、話をするときは、技をいれるってことでいいでござるな」
いや、物語風じゃなくていいから。
町が救われたことで、感動したのかモンザさんは、目に涙を浮かべていた。
「うんうん、いい話だなぁ」
そこまで感動する話だったっけと、思いながらも、結構な時間がたっていたため、眠っていたイノさんをおこして、そうそうに出発することにした。
相変わらず、ナナお姫様は、エドワードの腕の中で、幸せそうに体を預けていた。
出発の準備をしながら、エドワードに、
「その眠くなるのは、副作用なの?」
「体の中で、戦ってるといってたでござる。
アカリ殿は、直ぐに消え去ったっていってたでござるが、
ナナ殿のスキルの影響か、あるかもとシルバ様が、いってたでござる」
「う~ん。明日には、よくなるっていってたから、様子みかなぁ」
「ナナもカミサマにみてもらえばいいだお」
「@だよね@
「それもありかもねぇ」
もし、こんな状態なら、魔王に会いにいくのもありだよねぇ。
後片付けも直ぐに終わり、四人と一匹で歩き始めたところで、
「そうそう、モンザ師匠。
ハン式格闘術を教えてくれるんでしょ?
それとも、モンザ式ですか?」
「うむ、こちょばゆいな。
モンザ式だなんて、私は、まだまだ。
それに、弟子をとってことも、ないから、楽しみだ」
「歩きながらでいいの?」
僕は、そんな片手間でいいのか疑問になったが、
「あぁ。姿勢や歩行術の後、型になるから。
歩きながらでも、十分だ。
実践では、どんな状況でもつかえなきゃいけないだろ。
ひととおり、体験したら、技だな、ふふふ
早く技を教えてみたい、見せてみたいな」
「よろしくお願いします。師匠!!」
僕は、軽く頭をさげると、モンザさんは、真剣な目でみてから、恥ずかしくなったのか、ほっぺたを一かきすると指示が飛んできた。
「上半身をぶらさないで、歩いてみろ。
こんな感じだ。
大きく踏み出さ――」
言われた直後に、モンザさんの前で、オウサさんに習った通りの歩行を行って見せた。
オウサさんから、教えてもらってから、何度となく反復した練習だったため、簡単に行ってみせた。
「基本はできてるように思える。
何も問題はないな、素晴らしい。
そうか、最初にどのくらいできるか、知らないといけないのか。なるほど。
次は――」
こんどは、交互から片足を2歩づつ進むと、バランスを崩しやすく、また、速度が一定にしにくかったが、オウサ式と似ている個所もあり、反復練習の結果がでていた。
「ヒビキ君!
素晴らしいな!!
教えることがなさそうだ。
どこまで、できているのか楽しみだな。
次は回転、そのあとは、上半身も併せて動作での重心をみてみたい」
最後は、要望に聞こえたが、言われるがままの動作を繰り返しながら、道中を進んでいった。
イノさんたちは、興味津々で時にはまねながら見て遊んでいるようだった。その後ろでは、エドワードが歩幅が小さいため、ついてくるので必死そうだった。
上半身を交えた回転になったところで、言われたとおりに行うとどうしても、バランスを崩し始めた。
「うむ、ヒビキ君でも、流石に、ここはできないか」
「師匠、この残した足の向きですが、次への力への移動を考えると、踵を小さく上げて、反対側に向けたほうが楽なんですが、こんな風に」
思ってた通りに実行し、何度か右回転、左回転し、重心を崩さずに、上半身の力をうまくつかって、回転すると、モンザさんも同じようにして見せた。
「ほ、ほんとだ。
すぐに師匠を超えていくとは、なんて、恐ろしい子」
どこかで、聞いたような声が聞こえたが、彼ににあわせない発言に、苦笑いしか浮かべられなかった。




