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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第三部 巨獣討伐
359/545

第359話 暴言を全力で否定してみよう

 悶えてたモンザさんが、一通りの会話が終わると立ち終わった。

「なかなかいい突きだね、一瞬気を失ったよ。

 鍛えれば、いい武闘家になれると思う。

 どうだ?格闘術を習ってみないか?」

 僕は、一瞬モモを思い出すと、

「いいんですか?ありがとうございます。

 モモが使ってるのをみて、僕も使えるようになりたかったんですよ」

 僕の発言に気になったのか、彼は、腕組みをすると、

「うん?

 ヒビキ君は、モモお嬢様を知ってるのかい?」

「ええ、前にギルドで――」

 僕が話している最中にいたずらいっぱいの目をしたナナさんが、話に割って入ってきた。

「モモとちゅーしたなかだもんね」

「えっっっ!!!

 な、なっ、なっ、なんだって!!!!」

 驚愕の表情を浮かべ、モンザさんはあからさまに動揺したら、怒ったような顔になったり、悲しそうな顔になって体を小さくしたかと思ったら、天を仰ぎ、最後は、諦めの表情で、何も言わずに、使った調理器具を洗ってしまい始めた。


「モンザさん、待って。

 ほっぺだですから!

 町を案内してくれたお礼として上げたイヤリングのお礼ですから!!」

 僕は、慌てて追いかけ、必死になって説明をしたが、必死過ぎて説明が変で、ちゃんと伝わったか不安だった。またも、判りやすい表情で、はっとした表情から、納得といった表情にかわり、普段と同じような姿勢かと思ったが、目が泳いでいた。

「と、ところで、ヒビキくんは、

 モモお嬢様のことをどう思ってるんでございますか?」

 既に、動揺が隠し切れないのか、口調がおかしなことになっているが、

「僕は、いい子だなとは、思うけど――」

「――僕には、リイナっていう婚約者がいるから、彼女の気持ちには答えられないよ」

 ナナさんが、僕の後ろから、声色をまねて勝手に発言すると、嬉しそうな表情に変わり、

「そうか、そうか。

 別に婚約者がいるのか。

 応えられないか、うん、うん」

 何か大きな勘違いをしながら、喜んでるモンザさんに

「ちょっとナナさん、勝手に話さないでください。

 誤解を生んだじゃないですか?」

「え?」

「いいじゃない。別にホントのことでしょ。

 そ、それに、両家とも、ヒビキ君を婿にって言ってて、取り合ってるんだよね。

 うひひひ」

 ナナさんは、背中を丸め、握りこぶしを自分の口に当てて、下品な感じに笑っていた。

「なんの話ですか!

 そんなの知りませんよ」


 僕が否定をすると、ナナさんは背筋を戻して真顔になり、

「あ、ごめん、秘密だった。聞かなかったことにして。

 でも、リィちゃんと、ぶちゅっとやったんだから、教えてあげてもいいんじゃないの」

 僕は、港でのことを思い出すと、自分でも顔が熱くなることが判ると、

「み、み、み、見てたんですか!」

「見てなくても、帰ってきた二人っていうか、リィちゃんの幸せそうな顔を見れば、

 作戦がうまくいったことぐらいわかるわよ」

 僕は聞き捨てならない単語を聞くと強い口調で聞き返した。

「作戦って?」

 けらけらわらって喜んでいたナナさんが、また真顔に戻ると、

「ごめん、こっちも秘密だったわ。聞かなかったことにして」


 僕が、聞かなかったことにせず、問い詰めようとすると、話についてこれてないモンザさんが割って入ってきた。

「申し訳ないのだが、りィちゃんっていうのは……

 両家で、ライバルっていうと、オウサ家の方でしょうか?」

 またも、面白いことになりそうと目が楽しそうなナナさんが、

「よく、知ってるじゃない。

 リィちゃんは、オウサの長女のご息女よ、うふ♪」

「じゃ、ヒビキくんは、あの伝説の二人に認められてるってことですか?」

「そうよ、この女たらしのヒビキ君は、いろいろな町で美女を惚れさせては、捨てていく屑。

 違ったわ。

 魔王と伝説のハンさんを、同時に倒した強者なのよ。

 あれ、これも違うっけ……うひひ」


 けらけらとこれ以上ないくらいに楽し気なナナさんを、僕は、冷静になり、冷たい目をすると

「そんな風に思ってたんですが、

 それに、誇張しすぎです!!

 た・ま・た・ま!倒せただけです!!」

 そんな話を聞き入れたのか、またも、驚愕な表情で見てるモンザさんが、

「最初の発言でただの屑かと思った……おっと、失礼。


 一撃でも与えれれば、免許皆伝がもらえる、あのハン師匠と、

 それを軽くあしらう、あの魔王を同時に倒すだなんて!!


 英雄、色を好むと聞くが、他の美女を夢中にさせるのも納得だな」

 僕は、慌てて強く否定をしたが、モンザさんの中では、納得しているようで、ちっとも、聞き入れてくれなかった。

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