第352話 怪しいおっさんに近づいてみよう
「…お腹が空いて動けない…」
彼の発言のとおり、話終わるとみんなが聞こえるくらいの大きな腹の声が橋中に響いた。
ぐぅ~~~~
「お腹が空いてるだけのようです」
僕が、後ろを向いて走ってくるナナさん達に合図をすると、立ち止まっており、ナナさんたちの目を見開き攻撃態勢のまま、驚いている様子だった。その刹那、ナナさんの叫び声が聞こえた。 僕は、慌てて視線をおっさんに戻すと、僕にかみつこうと大きな口を開いていた。
「あぶない!!」
かと思ったら、口を開いたまま、後ろにぶっ倒れた。
「もうだめだ。
肉をくれ…」
肩の荷を下ろし、僕は辺りを見渡すと、頭の上には、雷雲が立ち込め、ナナさんは槍を投げる直前で、エドワードは発破をバックから取り出して火をつけていた。一見だけ気にかかることがあった。
「エドワード、それ、僕事倒す気なの?」
ナナさんは、投げようとした反動で、くるりと一回転すると槍の柄でエドワードを持ち上げ雷雲目掛けてなげとばした。エドワードは投げ飛ばされながら、雷雲に向けて発破を投げ、雲を爆散させると、僕を飛び越えて、華麗に着地した。
「ヒビキ殿、危なかったでござるな」
「ほんとに、危なかったよ」
ナナさんは、エドワードを槍の柄で小突くと、
「攻撃結果を考えて戦いなさい、もう」
小突かれたほうは、頭をかいてごまかしたことにしたようだった。
ナナさんは、ぼくの横に座り、こちらを見ると、
「とりあえず、食べさせることにするんでしょ?
「ええ。
焼いた肉があればいいんですけど」
僕は、アカリさんからもらった弁当箱を開くといくつものおいしそうな料理が並んでいて、その中の焼き豚を全て摘むと、開いた口に投げ入れた。
焼き豚のいい香りが鼻腔をくすぐったのか、むしゃむしゃと租借音が聞こえ始めると、直ぐに上半身を起こし、血走った目になったかとおもうと、僕が持っていた弁当箱をひったくって手づかみで食べ始めた。
「ほんとに悪意はないのかしら」
「大丈夫でござるよ」
まるで確信がない話なので、右耳からスルーして見守ってると、野人のような食べっぷりで食べ続けていた。8割以上食べ終わったおっさんは、ようやく、落ち着きをとり戻したのか、弁当を食べる手を辞めると
「驚かせて、すまんな。
あと、食べ物ありがとう。
申し訳ないんだが、おかわりをくれ」
話終わると、また食べ始めたが、まだ、お腹がなっていた。




