第351話 おっさんに近づいてみよう
先頭のナナさんが、橋の端にたどり着くと、愕然とした表情をしていた。
「なに、あれ?」
「どうなんでしょう?」
僕は、ナナさんが見てる先を見て、橋の中央を目を凝らしてみてみると、彼の周りには、色とりどりの宝玉や戦利品と思われるアイテムが転がっており、その中央には胴着をきた禿げたおっさんが正座して目を瞑っていた。
瞑想してるのかな。
遅れてやってきたイノさんとエドワードが、僕ら二人に近づくと、
「あれは、なんでござろう」
「テキダ」
「人に見えるけどね」
呆れた表情の顔になったナナさんは、諭すように僕に話しかけた。
「人に近い敵もいるのよ」
「人かもしれないじゃないですか、それでも、敵だとしても分かり合えかもしれないでしょ」
「りっちゃんも、ヒビキくんも、同じことをいうのね。
やっぱり、こんなことになるのね」
ナナさんは独り言をいって、自分に納得してるようだったが、僕は気にせずに、
「じゃ、まずは、話してからでいいですよね」
一生懸命に、ナナさんに問いただすと
「わかったわ。
でも、近づきすぎないようにね!!!
いい、少しでも、危ないと思ったら、即座に倒すのよ。
わかった?」
「……わかりました」
「ほんとに、気を付けてね」
僕は、それでもどうにか手段があるんじゃないかと思ったが、これ以上、会話をしても、判りあえなさそうだったので、この意見で妥協することにした。
「じゃ、ヒビキくんが、駄目の可能性から、臨戦態勢で進むわよ」
「わかったでござる」
「イチゲキ コロス」
物騒な意見ばかりだなと思いながら、みんなが相談してる間に、さっさと歩きだすと、間もなく手が届く、近づいた。
1メートル先の胴着をきた禿げたおっさんは、遠目よりも、筋肉粒々盛り上がっており、立ち上がれば、ナナさんより身長が高いだろうと思えた。これだけの体躯は、ハンさん以来か以上だなと思った。
「すみません。
そこで、何をしてるんですか?」
「ッ…ッ…ッ」
おっさんの口元は、動いていたが、あまりにも小さくて聞こえなかった。
「もっと、大きな声でしゃべってもらえますか?」
「ッ…アッ…アッ」
先ほどよりも、大きな声でしゃべっているようだったが、海から来る風の音にすら負けているようだった。
しょうがない、もう少し近づくか。
僕は、ゆっくりと近づき、手が届くところまで近づくとナナさんがようやく僕に気づき、遠くから驚きと怒声が聞こえた。
「ヒビキ君!
何してるの!
危ないわ、早く戻って!!!」
「大丈夫ですよ」
僕は、しゃべってる彼の口元に耳を寄せると、彼の口がパカァッと開き、そこには鋭い牙があり、赤い目が開くと、慌てて、ナナさん達が、走ってこっちに向かってきた。




