第340話 話を聞いてみよう
僕は、急いで二人を置いてエドワードのほうに向かったら、慌てた様子で右往左往していた。
「何が起きたの?」
「あ、イノさんが食べたてらでござるが、
一人に見つかって、そうしたら、また、一人、またひとりと見つかったでござる」
なんで、と思った僕は、再度といただした。
「え?
見つからないように、ちゃんと隠れてたの?」
「当然でござる!
拙者は、ちゃんと忍んでたでござる!!」
「いや、イノさんのほうだよ」
「普通に屋根の上で食べてたでござるが、
まずかったでござるか?」
僕は額をおさえ、悲壮な顔になった。
「まずかったから、こうなってるんでしょう!
エドワードじゃないよ、
イノさんだよ、隠れるの、もう」
「そうでござったか、てっきり、拙者かと、思ったでござる。
なんたって、にんじゃでござるからな」
にやっとしているエドワードをみて、なぜだ、という気持ちをおさえ、
「で、いのさんは?」
「ここだお」
僕の後ろから、ギノさんの声尾がすると物陰に隠れたイノさんの尻尾、蛇の頭だけがこちらに出ていた。
「あ、ギノさん。
見つからないように、さっきの宿にもどってて。
なるべく早く合流するから」
「@わかったよ@」
ウサギのナノさんもこちらにきたが、イノさんだけは、まだ体を小さくして、隠れていた。
「じゃ、エドワード、戻るよ」
「了解でござる」
既に、なかったような晴れやかな顔に戻ってるエドワードに、心労で気づかれたが、気持ちをきりなおすことにして、彼の後ろから戻ることにした。
ゆっくりと戻ると、心配そうなアカリさんとあきれ顔のナナさんの対照的な二人がでむかえてくれた、
「何か、化け物がでたとか、サルがでたとか、言ってましたが、
どうでした?いましたか?」
「え、あ、うん……
んと、実は……」
「イノさんの連れている大ざるが、見つかったのよ。
だから、黙ってたんだけど、大事になっちゃたわね」
「そ、そうなんです。
イノさんには、直ぐに宿に戻るようにいったので、
見つからないように戻ってるはずです」
「そうだったんですか、
で、おさるさんにように、食材が必要だったんですね。
だったら、バナナとかのほうがよかったですかね?」
納得がいき、アカリさんに心苦しさが増したが、そこは、覚悟を決め、騙し通すことにした。
「そうでしたね。
素直に相談すべきでした。まわりくどくなって、
本当にごめんなさい」
僕は、いろいろな思いを込めて、大きく頭をさげた。
「そこまでのことじゃないですよ、
頭をあげてください。
もし、何だったら、今からまた取りにいきますよ」
「大丈夫でござるよ、
イノさんは、なんだって食べるでござる」
ゴン!!
ナナさんが、エドワードの脳天にげんこつを垂直で落とすと、そのまま地べたに転がった。
「ん~~~~~~っ」
「いたそ~、
え、えっと、何か聞いたきがしたんですが、
何でしたっけ?」
「イノさんや従者や連れのサルに、好き嫌いはないから、いただいたもので、大丈夫って話ですよ。
ね、ナナさん」
「えぇ、さぁ、エドワードはおいて、先に食事の場所に行きましょう。
お腹がすいてきたわ」
いまだ、ごろごろしているエドワードを、アカリさんが、かわいそうな目で見ていたが、僕とナナさんが気にせず進むと、ちらちら後ろを振り返りながら、案内を再度開始した。




