第331話 イノさん達が町にはいれるか、確認してみよう
「こちらに被害が無くて、よかったでござる」
「あっちが、どうなってるか、心配ではあるけど」
「そうね
でも、こっからじゃ、流石に、どうなってるか、判らないわね」
僕らは、これ以上心配しても、無駄と思い、考えることをやめるとまた歩み始めた。
この後、日が沈みかけ、夕焼けが見えるまで、歩き続けたが、敵が現れることはなかったため、安全に、次の町に着くことができた。
「岩が来たときは、どうなることかと思ったけど、
どうにか無事着きそうね」
ナナさんの視線の先には、大きなゲートがあり、全員が、間もなく町にはいれることが判っていた。
だが、人影は何もなく、辺りは閑散としていた。
「イノさん達は、はいれるのかな?」
「無理でござる……
かどうか、行けば、判断できるでござるよ」
「そうね」
と軽い口調で話しているが、希望がみえない全員は、緊張のためか、口数が少なくなり、静かに向かっていった。だが、沈黙に耐え切れなくなったのか、話す奴が現れた。
「全然、村人がいないでござるな」
「そうだね、家で静かにしてるんだろうか」
「そろそろね」
とうとう、通れるか、ドキドキの時間がやってきた。僕は生唾をのみこみながら、先頭で痛快すると、ナナさん、エドワードと続き、最後のイノさん達も、何事もなく通過することができた。
「やっぱり、イノさんは、魔物ではないでござるな。
拙者の思ってたとおりでござる」
「だとしても、この先の町の中は、流石に、一緒には行けないわね」
「そうですね。
残念だけど、見つからないように一番高い建物の上で、待ってて」
「ワカッタ」
「ご飯と寝床が決まったら、連絡するよ」
「楽しみにしてるだお」
ギノさんが、しゃべってる先で、イノさんは、前傾姿勢のなると、飛び上がり、あっという間に姿が見えなくなった。
「また、三人でござるな。
どこに行くので、ござる」
「やっぱり、ギルドでしょうね」
「そうですね。
っていっても、向こうから、やってきますね」
僕の視線の先には、ギルドの職員らしき一団が、小走りでやってきた。その先頭では、ギルドの服装をしたショートボブの女性が、胸を揺らしながらやってきた。
「ぜぇ、ぜぇ、
ヒ、ヒビキさんでらっしゃいますか?」
「ええ、僕は、ヒビキですが、
どんな御用でしょう?」
「私、この町のギルドで副ギルド長をまかされてるアカリと申します。
よろしくお願いします」
彼女は、深々と頭を下げると、後ろの一団も、軽く頭を下げた。
「それで、ですが、
ギルド長が、お願いがあるとのことで、お待ちです。
ギルドまで、来ていただけませんでしょうか?」
「ええ、かまいませんよ」
僕は、次への町の輸送の依頼かなと考えながら、一団に囲まれて、大きな建物に連れて行かれた。




