第330話 生きていることに感謝してみよう
とても巨大な握りこぶしをイメージし、どこまでもどこまでも飛んでいくはずだったが、巨大で重厚な岩は、ほんの少し浮かんだ。それは、ほんの一メートルほど、浮かび上がらせただけだったが、何事もなく僕らの上を通過していった。どうにか、踏みつぶされずに済んだようだった。
「た、助かったでござるか」
「し、し、し、死ぬかと思ったわ」
「ビックリ シタ」
「ね、ね、ね、ね、狙い通りでしたね!」
僕は、完全が顔が引きつっていたが、徐々に生きてる実感がわき、へなへなと腰を抜かした。
「はははは」
安堵の為か、自然と笑みがこぼれ、みんなで、笑いあっていると、沖合まで水しぶきを盛大にまき散らしながら、進んでいった岩ころが、光の粒子に変わっていったのが判った。
「勝手に倒れたようね」
「ですね。
もう、二度とあんなのはごめんです」
「前にも、聞いたでござるな、そのセリフ」
「エドワード、もう二度と、敵を呼ぶようなセリフはやめてよね」
みんなの気持ちの整理が終わるまで待ち、半時ほど過ぎると、ようやく、また、出発することができた。
「先ほどは、ほんとに、びっくりしたでござるな」
「そうね、流石に想像以上だったわね」
「拙者は、まだまだ、大丈夫でござる。
どんとこいでござる」
「アレハ ナンダ?」
イノさんが、上空を見つめて、目を細めていた。
「またまた~」
僕やナナさんも、イノさんが見つめる上空を見ると、太陽で見づらかったが、明らかに、違和感のある小さな黒い点が見えた。
「ナナさん、あれ、なんだと思います?」
「さぁ、判らないわ。
とりあえず、異常であることしか、判らないわね」
「こっちに、向かってるように見えるでござるな」
「のんきに、発言しないでよ、エドワード」
僕は、エドワードにイラつきを覚えたが、彼の言っているように、こちらに向けて、点が少しづつ大きくなっているように見えた。
「どうしましょう」
「ヒビキ君、ここに落ちそう?」
「判りません」
流石に、黒い点だけが近づいてるだけでは、こちらに迫ってるのか判断できなかった。
わかるのは、地面に落ちて行ってることだけだよね
「アレ ココニ オチナイ」
「そうなの?
信じることにするわ」
徐々に大きくなってる隕石は、少しづつ山のほうに向かって落ちているように思えた。
「確かに、アッチに流れて行ってますね」
僕は、山のほうに指をさしたが、落ち方を想像すると、山をこえるように思えた。
「ねぇ、ヒビキ君、
そういえば、同じくらいの距離を移動してるだろうから、
あっちの海岸線には、リィちゃんがいるわよね」
「さ、流石に、リイナといえども、隕石を落とすとか、
そんなこと……
ありえるかもしれませんね」
僕とナナさんの考え事が当たるかどうかは、判らなかったが、直ぐに隕石は地上に落ち、山を越えた先にから、落下音がここまで、聞こえてきた




