第33話 青竜の鍵をもらってみよう
「はぁ、そういうものですか。
仲間を大事に心がけます」
僕は、心ここにないまま、回答した。
「うむ、いいこころがけじゃのう。
わしの胸は、気にいったのか?」
「はい、お見事です!!」
「そういってもらえると、
なんだかうれしいのう。
わしは、崇められることはあっても、
ほめられることはないからのう」
完全に服を着終え、
しわをなくしながら、そう答えていた。
「そうなんですか」
「記念にこの鍵を渡そう。
必要な時があれば、扉が開くじゃろう。
大事にとっておくのじゃ」
そういって、彼女は嬉しそうに、
小屋をでた。
僕はあわてて、小屋をでて、
「最後に、お名前を?」
「わしは、シューリンじゃ。青竜のシューリンと覚えとくのじゃ。
縁があったら、またあおうぞ。ではな。」
そういって、彼女は、空を飛んで行った。
〈ねぇ、リイナ、立派なスイカだったね。
ちがった。
あれが、伝説の人?〉
〈きっとね。スキルも付与されたり、
大体の質問にも答えてもらえたし。
なんか、二人いたことも気づいてたっぽかったし
すごい人だったわね〉
〈ああ、すごいスイカだった。〉
〈そっちじゃない!〉
へ?
結局、記憶にあるのは、スイカしかないし、
それ以上でも、それ以下でもないな。
そういや、顔もよく覚えてないや。
手には、竜の彫像が彫られた、
青色の鍵が残った。
その頃、シューリンは、
〈100年前と同様の質問を受けるとは、
数奇なめぐりあわせじゃな〉
と誰にも聞いていないだろう
独り言を呟いていた。




