第329話 ジャンプ台を作成してみよう
お腹がいっぱいになったことで、歩みはゆっくりだった。正面の遠くに、目標の都市が見えてるため、本日中にはつけるだろうと、楽観的に進んでいけた。
今まで、何度も森から海から、砂浜からと、敵が襲ってきたが、日にちが立つにつれどんどん少なくなってきたが、とうとう、数刻たったにも関わらず、襲われなかった。
「なんか、少ないね」
「ソウダナ ココモ ダイブ カッタ」
先を歩いていた、ナナさんが槍を首にかけながら、両腕を乗せながら、こちら側に振り向いた。
「そうなんだ。
ここも狩ってたんだね」
ナナさんの横を歩いていたエドワードも、こちらに振り向くと、
「歯ごたえがないでござるね、
もっと強い敵は、いないでござるかね」
高らかに笑っていたその顔が、一瞬で凍り付いた。
「や、山から、岩が転がってくるでござる!!!」
エドワードが向いた先の森の奥の山から、小さな丸いものが転がり、木々をなぎ倒しながら、海側に理いる僕たちに向かってきていた。
「エドが、そんなこと言うから、やってきたじゃない!!」
「アレハ、カテナイ、ニゲル」
「魔物なの?」
「@まものだよ@」
「剣も魔法も聞かないだお」
「マエ ニ タタカッタガ オオキスギテ テニオエナカッタ」
僕は、大きさを目算すると、今のいる位置と距離から考え小さな学校の体育館、以前みた聖都の大聖堂と同一ぐらいの大きさであろうと推測した。
「どんどん、勢いを、ま、ま、増してるでござる」
僕らは、逃げるように急いで、正面に走ったが、山の奥からくる岩も方向を変え、こちらに狙いを定めているようだった。
「駄目そうね、逃げきれないわ。
ヒビキ君、どうにかできない?」
「わかりました。
やってみます」
仲間を波打ち際ぎりぎりまで下がらせ、森と砂浜に向けて、魔法を唱えた。
「氷の壁」
「そんな壁ごときじゃ、防げないでござる」
エドワードのいうとおり、壁じゃ、少しも速度を落とせないことは判っており、形状を変えて、ジャンプ台のように徐々に坂にし、跳ねる形へと変形させていった。
「なるほど、あれで、私たちを飛び越えさせて、海のほうに飛ばそうってことなのね。
流石、ヒビキ君」
少し時間がかかったが、巨大なジャンプ台ができ、僕らはその後ろに隠れると、間もなく、超巨大な岩コロが迫っていた。
僕は、新たな魔法のイメージを考えながら、みんなに指示を出した。
「頭を下げて、できる限り、小さく、しゃがんでて!」
全員が小さく縮こまってると、手前のあった、巨大な大木をなんなく、なぎ倒した岩が、轟音と地鳴りと共に、姿を現した。
巨大なごつごつとした岩は、凄まじい回転のため、表面が見えなかったが、通った億の道がでこぼこしていることから、かなり凹凸があり、細切れになった樹木をみると、どんなものですら、止めることができないと直ぐに判った。
氷の大きなジャンプ台は、岩の重みと速さで耐え切れず、触れた瞬間に大きなひびが入り、真っ二つに裂けると、直ぐに砕け散った。
「もう、駄目でござる」
エドワードの悲痛な叫びの横で、僕は、最後の望みにかけた。
「師匠、僕たちを助けて下さい!
正掌鳳凰拳!!!!」
僕は、師匠と対戦したときに使われた巨大な紫色の握りこぶしをイメージし、巨大な岩ころ目掛けて、魔法を発動した。




