第326話 イノさんの戦闘を覗いてみよう
気分よく前を歩いているイノさんたちが立ち止まったので、何があったんだろうと、僕は、遠くを見てみると、前方に大魚の骨が、波打ち際に上がっていた。
「アレハ、マモノ ノ ヨウダ」
イノさんは、20メートルほど離れたところから、高らかに飛び上がり、僕の胴体よりも太い両腕で頭部分に降り立つと一瞬で砕け散った。
その刹那、魚の骨を中心に、イノさんを挟み込みように、砂が盛り上がったかと思うと一瞬で、二つの口型の葉が、イノさんを包み込んだ。
かに見えたが、一瞬で飛び上がっていたようで、こちらにすたっと降り立ち、戻ってきた。
「@しっぱいしたね@」
「ウ~、アッチジャナカッタ」
しょんぼりしてるイノさんたちを追い越し、僕は、魔法を唱え、カオスハンドで小さくすると、エドワードの発破で、退治した。
どぉ~ん
「ウゥ、ソノ オト キライ」
「僕は、へいきだお」
けらけら笑うギノさんの下で、イノさんは、頭を抱えており、爆音で頭が痛いようだ。
「エドワード、それは、しばらく使わないようにしてね」
「判ったでござるな。
しばらく、封印するでござる」
「うん、それがいいね」
「スマナイ」
すまなそうに小さく体を縮こませていたが、もともとがでかいため、あんまり悪そうには見えなかった。
「いいでござる。
イノどのには、何度も助けて貰ってるでござるから」
またも、ナナさんのこめかみに血管が浮き出て、表情が徐々に怒りがこもってきた。
「何度って何かな、えどわぁーど!!!」
この後、一度救ってもらった後にも、何度か助けてもらったことを、白状すると、こめかみをぐりぐりと両腕で挟みながら持ち上げられると、辺りには、ドワーフの絶叫が響いた。
「次、隠し事したら、愛想つかすからね!」
「も、もう絶対しないでござるから、
許してほしいでござる」
「ナナさんも、もう許してあげてね。
エドワードも小出しにせず、ちゃんと話せばよかったのに……」
僕は、言葉に違和感を覚えたが気にしないことにした。




