第321話 3匹の自己紹介を聞いてみよう
「ナニ モ シナイカラ
コウゲキ シナイ デ ホシイ」
「そうでござるよ、
見かけで判断しちゃ、よくないでござる」
三枚目を食べることにきめかねており、フォークをステーキの上でぐるぐる回していた。
「でも、わからないじゃない」
「そうだよ、エドワード」
僕とナナさんは、エドワードの前にでて、身構えると、ゆっくりと茂みの中から、モンスターが現れた。
「サッキモ ソコニイル ドワーフ ヲ
タスケタ」
慌てて食べるのをやめて、こちらに近づいてきて必死に両手で違うといいいそうなジャスチャーをすると、
「イノ殿、それは、秘密と決めたでござろう」
僕とナナさんは、臨戦態勢をやめて、向かってきたエドワードに詰め寄った。
「どういうことなの!
エドワード!!」
ナナさんが、鬼の形相で詰め寄り、胸倉を掴むと、エドワードは申し訳なさそうな顔をして、白状し始めた。
「気持ちよく森にはいったでござるが、直ぐに迷子になったでござって。
途方に暮れてたところで、話しかけてくれたのが、そこにいる イノ 殿でござる」
「オレガ イノ !」
イノと自己紹介したモンスターは、顔がサルで、額から提灯アンコウのように、管がでており、その先には、茂みにいたウサギと繋がっていた。
「で、ウサギが、ナノ 殿でござる」
「@あたしが ナノ@」
一瞬だけこちらを向き、話し終わると、むしゃむしゃとレタスを食べ始めていた。
「最後に、蛇が、ギノ殿でござる」
「ボクがギノだお」
トラ縞の胴体の尻尾には、尻尾のかわりに蛇になっており、こちらに向けて、会釈をすると長い舌をだしたあとひっこめた。
三匹の自己紹介が終わっても、ナナさんの怒りは収まらず、コメカミの血管がぴくぴくしながら、再び質問に戻った。
「で、ど・う・し・て、黙ってたのかな」
「一本も枯れ木も拾えなくて、しかも、迷子で
助けてもらったって、言い出せなかったでござるよ」
涙目で答えているのが可哀そうに思え、助け船をだしてあげることにした。
「もう、ナナさんも、そのへんで許してあげましょう」
「わかったわ
最後に、げんこつを頭に落とすと、彼女の怒りも冷めたようだ。
ゴツンッ
うっ、いたそう。
僕は、うずくまってるエドワードをみて、ナナさんにだけは、嘘をつくのだけははやめようと心に誓った。




