第315話 3体のサソリをエドワードに退治してもらおう
僕は立ち上がり、ゆったり進んでくる3匹のサソリを眺めた。
「僕やナナさんよりも、二回りほど大きそうですね」
「ええ、そんな感じね。
でも、大きさなんて、関係ないわ」
僕は、話しながら魔法のイメージを整えると、魔法をはなった。
「ですね。
氷針」
僕が放った氷針は、上半身に向けて飛んで行ったが、後ろの尻尾の外殻にあたると突き刺さらずにはじけ飛んだ。
僕は、氷の次は炎と思い、魔法をイメージすると、直ぐに放った。
「だったら、炎の鞭!」
炎型のムチが、サソリに向かっていったが、尻尾でガードされると、炎をまとわせたが、直ぐに消え、何事もダメージを受けている感じがなかった。
今度は、私の番という感じで、ナナさんが自分の目に立ったサソリに向かって戦闘態勢をとった。
「惣龍空王生突!」
サソリの前で前方姿勢になると、下から斜め上方に必殺の突きを放った。サソリは、左手で持っていた小さな丸盾で、簡単に攻撃をいなすと右手のファランクスが、大勢を崩したナナさんの頭に落ちようとしていた。僕は、慌てて魔法のイメージを固めるとすぐさま、サソリに放った。
「氷玉」
バスケットボール位の大きさの氷の玉をサソリの顔めがけて放つと、ナナさんから、氷の玉に狙いをけ、切りおろすと、真っ二つに分かれた。ナナさんは、その間に、ゴロゴロと転がり距離をとると、態勢を整えた。
「ありがとう、
ヒビキ君、助かったわ」
僕が、ナナさんのほうに走り寄っていくと、隣にいたエドワードが、一番左にいた敵に向かって駆け出して行ったところだった。
「影十陰流!鷲飛斬!!」
頭を下げ、低空姿勢で走りこんだエドワードは、サソリの腹の下に入ると、仰向けに体勢をかえて入っていき、何十もきりつけながら、後ろまで駆け抜けた。
駆け抜けた後ろには、サソリの胴体は輪切りにされ、光の粒子へと変わっていった。
振り向きながら、僕の前にいたサソリの後ろに立つ
「影十陰流!光影剣!!」
バックから大きめの光輝く大剣を取り出すと、真一文字に尻尾から胴体まで切りつけた。刀は、サソリの胴体の真ん中付近までいくと、ポキリッと折れ、半分に体が切られたサソリは、光の粒子に変わっていった。
ナナさんと対峙していたサソリが何事かとエドワードのほうを振り向くと、ナナさんは、チャンスと思い高らかにジャンプをした。
「奥義!惣龍千仙山突!!」
ナナさんが、気合で鼓舞し、槍の最後部を持ち、体に力を籠めると、空中で何百もの突きを放ち、サソリは、穴の開いていないところがないほど、無残な形となり、直ぐに光の粒子に変わっていった。
倒したサソリの前に降り立つと、
「大活躍だったね、エドワード」
「ふふふ、当然でござる」
「ナナさんも、お見事でした。
それにしても、すごい、切れ味だったね、あの大剣」
「なんたって、髪の毛程の薄さの刀身でござるから、どんなものも真っ二つでござる」
「で、あんな簡単に折れたのね。
折れたけど、よかったの?」
「よくないでござるが、ああいうものでござる」
体中の砂を払い、3体分の魔玉とドロップアイテムを拾うと、また、3人で歩き始めた。
「次は、どんなのが来るんでござるかね」
「しばらくは、ゆっくり歩きたいわ」
「だよね。
エドワードがそういうと、なんか出てきそうだよ」
「拙者は、まだまだ、戦い足りないでござる」
そんなこというと、直ぐに出てくるかと思ったが、二刻ほど進んでも、敵は出てこず、開けたところで、昼休憩をすることにした。




