第311話 弁当を貰って出発してみよう
僕とナナさんは、食べすぎによる重たいお腹を押さえながら旅支度を行い終わると、ホテルのロビーに向かった。
ホテルの一同が並んでまっており、支配人のおじさんが一歩前に出た。
「皆さん、泊まっていただき、ありがとうございました。
この後、次の都市に向かうと聞いておりますので、
弁当の準備ができておりますので、おもちください」
「ありがとうございます。
何から何まで」
「ありがたいわね。
道すがら、おいしい食事がいただけそうだわ」
「まったくでござる」
一人に二つの弁当箱が用意されると、各々に手渡された。シュシュさんが、脇からでてくると、
「それは、今日の昼と夜の分ですよ。
明日の朝分は、私が作ってきましたから、
これは、私を思い出しながら、ありがたく食べて下さいね♪」
「シュシュさんまで、ありがとう」
シュシュさんに手渡された弁当箱は、こじんまりとしていてたが、大きさに似合わず、重みを感じた。
「大したものじゃないから、
気にしないでね」
「では、行ってきます!」
「行ってらっしゃいませ、
お気を付けくて」
僕ら三人は、バックにしまうと、シュシュさんを先導に大通りに向かって歩き始めた。
大通りは、昨日とは異なり人通りでできていた。村民たちは、皆、山のほうに向かって歩い行ってるようだった。
「この人たちは、どこに向ってるの?」
「ヒビキさんが持ってきてくれた資材を、
村民に配るため、山側にある学校に集まって貰ってるんですよ」
「へぇ、手際がいいわね」
「そりゃ、食料とかもありますからね。
みんな、今日を待ちにまってましたよ」
「いいことをしたようで、
気分がいいでござるな」
「だねぇ」
三人とも、楽し気に歩く姿とは別に、シュシュさんの顔は、こわばっていた。
「そういえば、アンデッドが待ってるんでしたっけ?」
「そうですよ!
あれを見たら、浮かれてなんかいられないですよ、もう!!」
シュシュさんが、なにか怒り気味に会話をしてくれていたが、
半時もしないうちに、アンデッドの大群がたむろしているのが見えてきて
言っていることが体感できた。




