第310話 美味しい朝ご飯をたべよう
脱衣場で着替えて居間に行くとと、丸テーブルに朝ご飯が用意が始まっており、おじさん以外にも、シュシュさんが手伝っていた。
「おはよう、シュシュさん」
「おはよう、ヒビキさん。
どう、朝日綺麗だったでしょ!」
僕は、温泉でぼぉ~としていたため、ほとんど印象になかった。
「そうだね、うん、そうだね」
「……みなかったんだね」
ジトッ~とした視線を感じると、居心地が悪くなったため、コメカミを描きながら、準備が途中のテーブルに座った。
「なんか、朝から戦ったからお腹が空いたよ」
「お風呂場で、モンスターの声が聞こえたけど、
戦ってたの?」
シュシュさんが、僕が座ったためか、先ほどより配膳のスピードを上げながら、来るたびに会話をして相手をしてくれていた。
「そうなんですよ、
魚系のモンスターでしたね」
「流石に村までは、入ってこれないんで、安全ですけどね」
「そうなんですね、さっき、初めて知りましたよ。
それにしても、美味しそうですね」
「ええ、自慢の一品がいっぱいです。
残さず食べてください」
今回は、シュシュさんではなく、グラスに果物のジュースを注ぎながら宿のおじさんが返答してくれた。
「ここのガボスのジュースは、さっぱりしてて
美味しいんですよ」
「私も昨日、酒場で飲んだけど、美味しかったわよ」
ナナさんも、着替え終わって、僕の対面に座り、さっそく一杯飲んでいた。
「あれ、エドワードは?」
「まだ、着替えてたわね。
なんか、準備に時間がかかるって、言ってたわ」
そんな手間がかかるのかなって思いながらも、僕もグイッとカボスのジュースを口に運んだ。
キンキンに冷えており、軽い甘めでありながらさっぱりした口当たりで、がお風呂上りにちょうど良く、あっという間にグラスが空になった。
「美味しいですね」
「ええ、まだまだ、ありますから、いっぱい飲んでくださいね」
僕のグラスに注いでいる間に、エドワードが小走りでやってきた。
「遅くなったでござる」
きっちりと旅支度まで、着替え終わっていたが、僕とナナさんはまだ、普段着だった。
「この飲み物、おいしいよ」
僕がカボスのジュースを指さすと、ナナさんの隣に座り、僕と同じようにグイっと一飲みで空にした。
「確かにでござる」
再度、おじさんがグラスに運ぶと、ご飯を食べることにした。
「では、大したものは、ございませんが、
ごゆっくり、お食べ下さい」
おじさんが席をたつと、シュシュさんも座って、部屋には4人だけになった。
「「「「いただきます」」」」
一人一人にお盆が配置され、中にはいくつものおかずが並んでいた。4人の真ん中には、山に積まれた焼き立てのパンがあり、暖かそうな湯気が立っていた。サイドテーブルには、スープが入った寸胴が置かれており、中は、野菜のスープのようだ。隣にはガラスの大きなボールにあふれんばかりの新鮮な野菜が積まれていた。自分でたべたいだけ盛りにいくんだろうと思った。
個々のお盆には、目玉焼きとベーコンが塩コショウで味付けされており、脇にポテトサラダが、付き合わせとして、ちょこんと置かれていた。もう一つの皿には、大きなソーセージと炒めた飴色のオニオンが配膳されていた。
フォークで切ると肉汁が溢れてきた。一口食べるとうまみが口いっぱいに広がった。
次は、出来立てのパンを山盛りのかごの中からとり、一口食べると小麦の薫りが咥内に広がり幸せな気分になった。
口にはいったパンを流し込むため、手前にあったスープをいただくと、野菜のやさしい旨味で、体中が幸せに包まれた。
「おいしいね」
「そうね、想像してたより、ずっと、おいしいわね」
「ふふふ。
紹介してよかったです。
おかわりは、私が準備しますから、いつでも言ってくださいね」
「ソーセージをおかわりでござる」
「ソーセージかよ!」
「大丈夫ですよ、まだありますから、
ちょっと、行ってきますね」
シュシュさんは、立ち上がると、パンを咥えながら、本邸に向かうため玄関から出ていった。
なんだかんだ言って、シュシュさんが帰ってくると、僕もソーセージをおかわりし、お腹いっぱいになるまで、食べ続けた。




