第304話 会の開始の挨拶をしてみよう
僕は、3度目となる同じシルエットの美少女に声をかけた。
「すみません、ヒビキといいますが、
こちらのギルド職員でしょうか?」
絶対関係者であることは明確だが、しれっと自己紹介を含めておけば、食いついてくると断言をもって接したのだが、予想ははずれあっさりとした対応だった。
「ヒビキ様、お待ちしておりました。
ギルド長がお待ちしております」
彼女に、連れられて、ギルドに近づいて行くと、後ろからナナさんが耳打ちしてきた。
「彼女、モモさんに似てるわよね」
「そうですね。
以前も、別のギルドで、みかんちゃんとムラサキさんと似ている方に会ってるんで、 遠戚だとおもうんですけど……」
僕は、ぎりぎり聞こえるぐらいの大きさで、会話をしたが、相手は振り向いてこなかった。
おかしい、ぜったい聞こえているはず……
何かの疑惑を感じながら、入り口のドアを開けると、広がった先には20畳ほどの大広間がみえた。
大広間には、30人以上の人たちがおり、大きな拍手で迎えられた。よく部屋の中を観察すると、二組の服装に分かれており、一つは、いつも通りギルドの服装であったことから、もう一つはこの村をまとめているグループだと思えた。
その正面には、二人の偉そうな人がおり、片方がギルドの服装をきている人と、もう一人が、おじいさんであり、ここをまとめているひとでなんだろう。
おじいさんが一礼すると、大音量で聞こえていた拍手がいったんやみ、話を始めてくれた。
「ヒビキ殿、はるばるありがとうございます」
一歩前にでて、両手を出してくると、僕は、握り返し、肩にかけてあったギルドから預かったバックを渡した。
「どうぞ」
「ありがとうございます。
さぁ、ジョシュア、よろしく」
「はい、村長」
村長の横にいたお姉さんが、バックを受け取ると数人の人間と一緒に消えていった。
おじいさんの代わりに柔和なギルド長が話かけてきた。
「ギルド長のサヤシといいます。
この後、ささやかながら会の準備をしております。
ご参加をお願いします。
こちらに」
二人の偉い人の後ろを歩くと、直ぐ近くの酒場に入って行った。
既に料理はできており、人数分の食事がテーブルにできていた。贅沢な料理は一つもなかったが、手の込んだ料理が、幾つも盆に乗っていた。料理の脇には、いくつものお酒が多くおいてあり、食事よりもお酒が多く準備されていた。
僕たちが座ると、それに合わせて、二人の長が座った。それにあわせて、全員が徐々に座っていき、皆が座り終わると、ギルド長のサヤシだけが立ち、挨拶を始めた。
「今日は、ありがとうございました。
これで、向こう側にも、いける可能性、
生きる希望も湧いてきました。
全て、ヒビキ様たちのおかげです。
ささやかではございますが、お召し上がりください」
ギルド長が、深々とお礼をすると、彼の眼差しが僕を見つめていた。
意図をさっした僕は、彼の代わりに交代で立つと、返答の挨拶をすることにした。
「皆さま、会を開いていただきありがとうございます。
ここまで来るまでに、3人で幾度も窮地に立ちながらも、
どうにかたどり着くことができました。
道中は、様々な敵がおり、見つけたものは全て排除できましたが、
未だ見ぬ強敵が潜んでいるかもしれません。
それでも、以前に比べれば、安全性は増したと思います。
今日は、たくさんの食料が届けれたことを皆さんで、喜び分かち合いましょう
では。
「「「かんぱーい」」」
たくさんの人が、僕の一声で、同一の行動をとり、一発本番だったがどうにか、うまくいって心から喜んだ。




