第302話 更なる敵を退治しよう
「あと、どんだけ、遭うんでしょうか」
「っていっても、あそこ見てみなさい。
あの打ち上げられた海藻も魔物ぽいわね」
「で、ござるな
ヒビキ殿よりも大きそうでござるな」
「海藻なのに、砂浜で、気持ちよさそうに風になびいてますしね。
火玉!」
僕は、少し近づき魔法を放つと、火の玉が海藻の魔物までまっすぐ飛んでいき、海藻の近くにくると、葉っぱで撃ち落とされ、何一つもダメージを与えられなかった。
「海藻のくせに生意気でござるな
ひっ……」
バックから出そうとする手を、ナナさんの槍が止めさせた。
「同じように打ちかえされたら、困るでしょ」
「ですね。任せてください。
魔王呪縛掌!!!」
ゆらゆらうごめく海藻の足元に、魔法陣が、紫色の光沢で光始めた。
僕は、右手の掌を開き、下から上にゆっくりとあげると、魔法陣からも、紫色の巨大な腕があらわれた。
腕は、掌に巨大な海藻を掴み、僕がゆっくりと、下に腕を引いていくと、同じように連動し、地面と挟まった海藻から、白い幽体引き出された。紫の手と共に地中に潜り、魔法陣とともに幽体は霧散した。
海藻は、巨大エネルギーを吸われ、エドワードくらいのサイズまで、小さくなっていた。
「腰くらいのサイズまで小さくなれば、
私の出番ね!
惣龍橙風颯爽斬!!」
ナナさんが、二歩ほど後ろにバックステップすると、右、左と足を交差して進み、最後にくるっと横に一回転してしゃがみ込むと、刃先のみを海藻の根元を、水平に凪ぎ切った。海藻は、根元からばっさりと伐採されると光の粒子に変わって消え去った。
「上手です!」
「お見事でござる!」
「ありがと!」
三人で喜んびながら、ゆっくり歩き、宝玉とドロップアイテムのワカメを拾うとそのまま通過した。
「結構でてきますね」
「少しはやすめ……なさそうね」
ナナさんが、見つめた先の林から、風切り音が聞こえてきて、凄い勢いで近づいてきているのが判った。
ナナさんは戦闘態勢をとり、先頭にたつと、僕とエドワードで左右に陣をとり、音の主が直ぐに表れた。それは、人のサイズくらいのトンボだった。林の上から海道に垂直に降りてきたと思ったら、水平にナナさんに向かって襲ってきた。ぎざぎざの口と真っ赤な三眼が恐ろしさを出していたが、ナナさんは気にせず、技の初動に入っていった。
「私が足止めするから、その間に攻撃してね!」
「「了解!」」
ナナさんが、大股で腰を降ろすと、両手でしっかりと槍を握り、突っ込んでくる相手に向かって必殺の突きを放った。
「惣龍地王姜突!」
ナナさんの槍は、斜め上から下に向け突きをいれ、トンボの眉間に突き刺さったが、ガキッといった強烈な音が聞こえたが、穂先がほんの少しだけ刺さっただけだった。ほんの少し速度を落としたように思えたが、足元が砂のため、ナナさんが後方に引きずられていった。
「いくよ、エドワード!」
「了解でござる!」
僕らは、ナナさんから直ぐに後ろに入ると技を出し始めた。
「王佐流片手斬術 鳳凰落刃斬!」
僕は、杖を離すと剣を両手で持ち、大きく一歩を踏み込んだ。全身の力を込めた、縦斬りで、2枚の羽を断ち切ると、地面すれすれに剣先がぶつかるところで、右足に力を籠め、左半身を開き、左手で高々と上方に飛ぶことで、通り過ぎようとしたトンボの尻尾をぶった切った。
「影十陰流!輪切り斬!!」
僕の横ではエドワードが、トンボの羽をぎりぎりであおむけにとぶと、真上から何回も切り付け、くるりと一回転して着地した。右側の4枚の羽は、千切りに切り刻まれ、幾つにも分かれると、勢いを失くして、ナナさんの力で、足元に落下し、ばたつき始めた。
「惣龍墜王突!」
ナナさんが、両足を屈ませ、高々と飛び立つと、空中で一回転し、槍の穂先目掛けトンボの背中を刺し貫いた。刺し貫れたトンボは、直ぐに光の粒子にかわり砕け散った。
「おつかれ、みんな」
「お疲れ、ナナさん。
今回も、見事でしたね」
「そうでござる。終始かっこよかったでござる」
「ふふふ、ありがと♪
二人のおかげよ」
そんな僕たちをよそめに、次の敵が遠くの砂浜で待ち構えているのが目に見えた。




