第301話 新しい敵を倒してもらおう
「ようやく、乾き始めたでござるな」
「そうだね。
気持ち悪かったね」
あの後、半時ほど、海岸線を進み、海風と炎天下の下、着膨れしている状態でも、徐々に乾いていった。
「そろそろ、また出てきそうね」
「もう、やめてくださいよ、ナナさん。
ほんとに、出てきたら、どうするんですか」
「ヒビキ殿、正面の黒い塊。
なんでござろう」
僕は、エドワードの視線の先を見ると、黒い岩の塊と思われたその物体が、小さな点が、次々とこちらに向けて飛んでくると、黒い岩の塊ではなく、白いものが見えてきた。
「あれは、骨ね。
っていうか、あの黒い飛んでくるものは何?」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ
火炎渦!」
こちらに飛んできているものだけを狙って放ったが、炎に包まれながら速度を変えずにこちらに近づいてきた。
「炎の塊で突っ込んできてるみたいになってるじゃない!」
「す、すみません」
「拙者に、任されよ!」
「またか」
「必殺!王魏怒羅殺!」
3本の発破を取り出すと、黒い炎上の塊の前方に二つ、後方に一つが地面に到達すると同時に内側に向かって爆発し黒い塊となっていた数百の虫は、各々が光の粒子に変わっていった。
「すごいわね。
大活躍じゃない!」
「楽勝でござる」
3人で、山のような宝玉を拾いながら白い骨まで行くと、何かしらの動物だったであろう骨組は、4メートルくらいの大型の動物だと思われた。
「しっかし、こいつは、光の粒子にならないんですね」
「そうねぇ。
不思議ね」
僕が、頭蓋骨を除くと中には赤い目があり、こちらをゆらゆらと見ているようであった。
「へぇ。中に赤い目がありますよ――」
「え!!」
「――あぶない!」
急に首の後ろを引っ張られた感じがすると、数メートル後ろにごろごろと転がっていた。僕がいたところには、骨となった鋭い獣の爪が砂中に深々と刺さっていた。
「アンデッドよ!!!
え~い!
惣龍螺旋金剛破打!」
ナナさんが、大きく左足を一歩踏み込むと、槍の穂先と石突部分を反転させながら、体を全宙のように回転させながら、頭蓋骨の頂点を石突で叩きつけると、めり込みながら地べたにぐしゃりと砕け散った。
「た、助かりました」
「いいのよ、安易に近づいちゃ、駄目よ」
「そうでござるよ」
最後に、エドワードに言われると、なんとも思えない気持ちになり、お前もなという突っ込みを言わざるを得なかった。




