第300話 モグラにトドメをさしてみよう
ナナが持つ槍の先端が深々と巨大モグラの胸に全て飲み込まれると、痛さのためか、巨大な咆哮が辺りに響いた
グギャゥアアアア!!!!
だが、巨大モグラは、倒れることなく、右腕をあげた。槍を抜こうとしているナナさんは、なかなか抜けず踏ん張っていると、巨大モグラの右腕が、ナナさんに向けて振り下ろされようとしていた。
「ナナさん、危ない、槍を離して!」
僕の一声で、大きく一歩後ろに離れると、僕はペテさんが放った魔法を唱えた。
「火炎連掌!!」
杖からは、大きな掌型の炎が何発も飛んでいき、巨大なモグラの胸あたりに何度も掌が叩くとよろめき、ナナさんの手前で右腕の一撃は、空ぶった。
「助かったわ」
ナナさんが、モグラと目線を外さずに、対峙しながら岩場に戻ってきたが、炎に包まれたモグラは、砂中にはいり、黒い煙が立ち込め、一瞬で鎮火したことが判った。
「さて、どうするでござろう」
「困ったわね」
「僕にいい案が浮かんだ。
見ててください。
氷の壁」
僕は、沖合に向けて氷の柱を海面ぎりぎり、水平に十数メートルほど作成した。
僕は出来上がった氷の壁を滑るように歩き始め、動かない二人に向かって声をかけた。
「二人とも行くよ」
「こ、これでうまく行くでござるか」
「直ぐに結果は、判りそうね」
ナナさんの誘導でエドワードが大人しく、僕に付いて来ると、モグラも同じように僕に向かってきた。
モグラは、水面もギリギリまで砂中が盛り上がっていたが、水面までくると深く潜っていった。
更に氷の壁をだし、より沖合に進んでいくと、後方で気泡が一つ現れ、また一つと連続で増えていった。
「まもなくだね」
僕の発言が終わるや否や、大きな泡ぶくが連続で出てくると、巨大モグラが水中に現れた。
「いまだ、エドワード
海中のモグラに向けて爆弾を!」
「ば、爆弾でござるか」
「いいから、早くしなさい!」
しぶしぶ、バックから一本の発破を取り出すと、水中で爆発し、辺り一面に飛び散った海水が雨のように降り注いだ。
モグラは、他の魚と共に、ぷくっと浮かび上がると、うつ伏せだったんのが災いしたのか、しばらくすると、光の粒子へと姿を変えていった。
「びしょ濡れだわ。
でも、何とか倒せたわね」
「そうで、ござるな」
「さすが、エドワードだね」
「なんか、勝った気がしないでござる」
「あなたがいれば、こそよ」
「そうで、ござるかね」
それでも、首をかしげるエドワードをおいて、僕は、海に降りると、胸ぐらいまで漬かった。
ずぶぬれになりながらも、なんとか、歩いて砂浜まで戻れそうだった。
僕は、巨大モグラの宝玉やミトン、それに大きめの魚などを片っ端からバックにしまっていった。
二人は、海に潜らずに、氷の床を通って、僕の様子を眺めながら、砂浜まで降りて、待っていてくれた。
「お疲れ、ヒビキ君」
「ちゃんと、拾ってきました」
「でかしたわ。
でも、私の槍がないのよ。
一緒に探してくれない。
「了解です。
探してみますね、探知」
ナナさんの槍が、エドワードがいた足元の下3メートルほど下に埋まっているのが判った。
この後、発破の爆破で穴を掘って取り出し、海水で浸かった上に砂まみれでひどい状態になったが、僕の魔法で3人とも綺麗にすると、乾かしながら、再度村に向けて歩みだした。




