第3話 素性を聴いてみよう
また、やってしまった。
心の声がもれもれだ。
とりあえず、怒ってはいないようだ。
〈リイナは、エルフなの?どちらかというと人に近いような気がするけど〉
僕は、しろっぽい彼女の方を見ながら、
疑問をかけてみた。
〈父親が人間の冒険者だったから、父親に似たんだと思うわ。
生まれる前に亡くなってるから、全く知らないんだけどね。〉
細かい表情はよく読み取れないが、
少し寂しげなのかな。
〈そうなんだね。
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お母さんは?〉
どこまで、言葉を足して会話をしたほうがよいのか
悩むので、言葉を少なくして、聞いてみた。
〈ママは、妹とともに、グローレットの町にいってるわ〉
い、いもうと!?
どこまで突っ込んで聞いた方がよいのだろうか、
話が終わらない気がしてきた。
身の上は、また、今度聞くとして、
また、現状の状況を把握してみようかな。
〈と、ところで、
ここまでは、一人できたの?
ほかのひとは?〉
こんな森の中を一人は考えにくいから、
誰かと一緒だったのかな。
〈冒険者二人と一緒にきたんだけど・・・
いないわね。〉
きょろきょろと回りを確認している。
〈わたしが杖をとった時に、扉が開いた音がしたから、
わたしをおいて先にいったのかな。
その後、すぐに気を失ったから、みてないの。〉
少し口調が弱くなっていることから、
寂しげに呟いた。
確かに、少し先にある紋章が彫られた扉が開いている。
一人(?)だと不安だし、さっさと合流した方がよさそうだ。
〈じゃ、二人を追いかけに、
扉の奥にはいってみるよ〉
僕は、元気のないリイナの意識を変えさせるために、
行動をおこしてみることにした。
〈もう少し、あなたのことを知りたいけど、
早めに、合流したほうがよさそうね〉
彼女も、切り替えたのか、
少し口調に元気がでてきたように思えた。