表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第三部 巨獣討伐
297/545

第297話 漁夫の利を得よう

 ふぐぉぉおぉおぉぉぉ!


 巨大なヘラジカが一声鳴くと、巻貝の上に雷雲が立ち込め始めた。どんどんと巻貝を中心に雷雲が立ち込め、あっという間に、辺りは暗くなっていくと、雲の中で雷がビリッビリッっと稲光が走っていた。


 ドンッ!ドンッ!ドンッッ!ドドンッ!


 何本もの雷が巻貝の真上に落ちたが、内部を貫通している様子はなく、外の貝殻の壁面から、砂浜に流れるように、光っていた。


「通じてないでござるな」

「だよねぇ。

 あ、動き始めた」

 ナナさんが槍を頭の上に構えて、他人事のようにみていると、ナナさんの言う通り、ヘラジカは、ゆっくりと巻貝に近づいていった。

 僕が返事をする間もなく、徐々に速度を増していき、ほんの数秒もしないうちに、すさまじい勢いで巻貝に近づいて行った。足は遠目からでも、見ることができないのだから、どのくらいの足さばきなのか思いつきもしなかった。

「は、はやいござる」

「だね、凄い!」

 話している間に、100メートル以上離れた林から、砂浜まで一瞬で巻貝の正面に到達し、その速度を活かすかのように、巨大な角で貝の壁面をたたきつけると、貝殻の防御など微塵もかんじられないくらいに、両方の角が深々と突き刺さり、抉られた。


 ガギンッ!!


「勝負あったのかしら」

「でも、まだ、光の粒子になっていないですね」

「そうでござるな」

 ヘラジカは、突き刺さった角を抜こうとし、頭を上下左右に揺さぶっていると、巻貝から放たれた何百本もの触手が足元から巻き付いていき、やがて頭以外を覆い隠した。


 ぶもぉ~


 中でどんなことが行われているか想像もしたくなかったが、数分もしないで、ヘラジカが、力なく鳴くと首を持たれ、やがて光の粒子へと変えていった。

「巻貝が勝ちましたね」

「そうね。

 相性かしらね。

 で、どうする?」

「拙者に、任せてほしいでござる」

「いいわよ。算段あるの?

 何も考えてないなら、行かせられないわよ」

 ナナさんの一言で頭を抱えたエドワードの助け船を出すことにした。


「じゃぁ、まずは、僕が魔法を唱えるから、

 その後、遠距離攻撃してみて。

 それで、だいぶダメージを与えられるはずだから」

「あれで、ござるな」

「うん。

 で、割れたところからなら、攻撃がいけると思う」

「了解」「了解でござる」

「で、倒せなかったら、諦めよう。

 林を経由して、避けていこう」

「それでOKよ」

「行くでござる」

「僕の魔法の後だよ、いい?」

 最後の返事は、聞こえなかったが、三人で静かに近づいていき、100メートルくらいのところで、

僕は、魔法を唱え始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ