第294話 ギルドから話を聞いてみよう
「あそこね」
リイナが指さした場所には、人が誰も居ず、今までで一番人が居なかった。全員を連れてぞろぞろと3階建てのりっぱな建物に入ると、3人のギルド職員が走ってやってきた。
「どのようなご依頼でしょうか?」
「いや、事情を聴きにきたのですが……」
「もしや、討伐を期待できるのでしょうか?」
「そうですね、うちのリイナは、一度大怪魚を倒してます」
その発言を聞くと、ギルド長は涙を流さんばかりに喜び、後ろの控えていた女性陣も抱き合って喜んでいた。
そんな様子を後ろから探ってたほかのギルド職員がぞろそろと集まり始めた。
「まずは、状況を聞かせていただけますか?」
「はい、喜んで」
僕らは、2階の大部屋に連れていかされると、取り囲むように職員が後ろに立ち始めた。
「この事態が始まったのは、10日以上前から、ちらほらと
ボス級の魔物が出始めたとのことでした」
「そんな前からなんですね。
場所は、どの辺なんですか?」
「ここの反対側のコーヌモンという都市とロシュパの村の間で、
みたこともないゴブリンがでたとか、魔道人形が現れたとか。
誰も信じてなかったんですが……」
「それが、どうして、信じるように……」
ギルド長を遮るように受付をしていたであろう女性が割り込んだ。
「すごいことが起きたんです!!」
「目の前の海に、見たこともない島くらいの大きさの魚が現れたんです」
「そうそう、でも、その後だよねぇ~」
「だよねぇ~
その後、でっかい雷雲と共に、持ち上がって、爆散したのをみたら……」
「もう、この世の終わりが始まったとしか、思えないよね」
「とまぁ、こんな感じで信じることになったんですが……
噂が広まって、誰も怖くて、都市から、移動しなくなったんですよ」
「え、ええ。まぁ」
僕は、リイナのほうを見ると、ほっぺたを指で描いていた。
「爆散させたのは、彼女の魔法なんですが。
まぁ、気にしないで話を続けて下さい」
「「「「えっ!!!!」」」
周りから、驚愕の声と、これで、町は救われるといった、声が聞こえてきた。
「続きを、どうぞ」
「まったく、心強いです。
ありがたいです。
で、今は、物資は入ってこないですし、人も入れ替わりがないんで、
町の流通は、止まってますし……」
「でも、ここは、橋が戻れば、まだ、いいですけど、
他はやばいんですよ。
特に都市の間にある村とかは、両隣の村が心配なんです」
ギルド長に追随するように、受付嬢達が、補足をしてくれている。
「そうですよね。
う~ん、両隣か……
リイナ、二手に判れてみようか?」
「う~ん、ほんとに?
ヒビキが心配だけど……。
信じることにするわ。
無理そうなら、町の中に逃げて、わたしの元に追いかけてくるのよ!」
「うん、わかったよ。
倒せそうな、相手だけ、
戦うようにするよ」
僕は、本当に心底そう思いながら、みんなの前で言わなくてもいいのにといった思いが一番強かった。




