第286話 城に向かって歩いてみよう
しばらく周って人ごみに飽きると、宿に戻って休憩することにした。
「ところで、服装とか、いつものでいいのかな?」
「いいんじゃない。
ナナねぇは、あれ着るの?」
「着ないわよ」
僕が、なんのことか、きょとんとすると、ナナさんとユカリさんのことを
改めて補足してくれた。
前の時は、服装のことなど、そこまで詳しくは、聞いていなかったので、
なかなか、興味深い話だったが、化粧をした二人も見てみたいと密かに思ったが、
口には出さなかった。
宿に到着し、半時ほど、二人だった時のことを聞いていると、部屋からアドアが出てきた。
「じゃ、そろそろいきましょうか、
ヒビキさん」
「そうだね」
宿から出るとアドアが、みんなを先導して、王城へと歩き始め、ゆっくりとみんなで星空の下を歩き始めた。
僕は、アンナと最後尾で、全体を眺めていた。
「ヒビキ兄さん、
明日、出発するの?」
「そうだね、アンナ。
みんな揃って、魔馬車なのかな。
まだ、乗ったことがないや。
楽しみだよ」
リイナは、後ろの僕に振り向くと、
「そうね、
ヒビキは、まだ、乗ってなかったわね。
結構快適よ」
僕は、まだ乗れていない魔馬車に期待が膨らんでいた。
リイナの隣で歩いていたナナさんが、
「ヒビキ君は、楽しみがあっていいわね。
私は、この後の料理が楽しみだわ」
「ナナねぇは、
貴族のところでも、美味しいもの食べていたんでしょう?」
「あんまり、覚えてないわね、
窮屈だった印象しかないわ。
ユカリは、あの雰囲気でやってげるのかしら、ちょっと、不安ね」
「ユカリねぇは、そつなくこなすでしょ」
「そうかなぁ」
二人が思い出に華を咲かせていると、アドアが門番にところに着いたとこだった。
僕らは、慌てて急ぎ足で彼女に近づくと
「皆さま、お待ちしておりました」
門番が門を開けると、入り口には、大臣が恭しくで向かえてくれた。
「夜分遅く申し訳ございません。
精一杯のご料理を準備しておりますので、楽しんでください」
僕らは、さっきまでの談話の五月蠅さと、まるで変わり、静かにして歩くと、静まり返った城の中を
足音だけが、木霊していた。




