第284話 防具を受け取ってみよう
王様が、オオストラトさんと見送り、間が静かになると、僕のほうに新ためて向き直した。
「さて、ヒビキ殿一行には、印を授けるとしよう」
「印って、なんですか?」
「ヒビキ殿も、既に持っていると思うが……」
僕が王様に質問をすると、右腕の印について、話始めた。
「魔王を討伐すると、印が貰えるだが、
それ以外にも、魔王が認めることで、印を貰うこともできるんだよ。
今回みたいにね」
「へぇ。そうなんですね」
僕は、右腕をみると、印は、スペードが追加され、3つの印が揃っていた
「流石、ヒビキ殿でござる。
既に二つ持っていて、わが王のを合わせて三つ揃ってるなんて、凄いでござる」
エドワードが感嘆の声を上げると、王様も続いて会話にはいってきた。
「たしかに。ヒビキ殿はすごいな。
あと一つ、クローバーが揃えば、
この周りの四大陸の統一主。
全てをまとめているシューリン様に会えるぞ」
「あの伝説のシューリン様に会えるんですって、ヒビキさん」
アドアが羨ましそうな目で僕をみていた。
そういえば、旅の初めに、シューリンって竜人にあったような気がするけど。
「で、会うといいことがあるの?」
「ヒビキ兄さん、知らないんですか?
シューリン様に会えばどんな願いも叶えてくれる伝説の神様ですよ」
「リ、リイナ、知ってた?」
「モ、モチロンヨ。
シッテタニ、キマッテルジャナイ」
リイナは、僕の目を見ようとしなかったことから、だいたいを把握出来た。
「二回あったり、したらどうなるのかな?」
「ヒビキさん、そんなあり得ないこと考えてもしょうがありませんよ」
「ねぇ、アドア」
アンナとアドアは、ふたりでけらけらと笑いあってるが、僕の表情は
固まったままだった。
既にあって、願いをかなえてもらってるなんて言わないようにしよう
「では、私は、執務室に戻るとしよう。
エレメールもくるように」
「はい、わかった、なの。
ヒビキ、またなの」
姫は、僕に手を振ると、王様と大臣を連れて出ていった。
もう一人の大臣が、慌てて、こちらに近づいてきた
「本日、夜に、姫様を交え、食事会を開催しますので、
皆さんで、きてくださいとのことです」
「わかりました」
大臣は、伝えるだけ伝えて回答を最後まで聞かずに、小走りで部屋をでていった。
エレメールは最初から聞いてたから、またって、言ったのかな。
エドワードが、ゆっくりと忍び足で、こっちに近寄ってきた。
「ヒビキ殿、
親父殿と一緒にヒビキ殿の防具を作ったでござる。
ダンジョンで、壊れたでござるから、あれから、夜通し作ったでござる」
「ありがとう。
とても助かるよ。
どんなのなの?」
「ふふふ、目を開いてみるでござる。
これでござる!!」
エドワードがバックから、部分部分に、朱色の皮があてられたと漆黒の上法衣を取り出した。
「ダンジョン産の上法衣に、レッドドラゴンの皮を、各部位で補強したでござる。
しかも、アダマンタイト製の金属線を、縫い込んでいるでござる」
「それは、頑丈そうですね!
重いんですか?」
「ただの上法衣からみると、倍くらいの重さになってるでござるが、他の皮鎧よりも、
軽いでござる」
「やった!
ありがとう」
僕は、エドワードから受け取ると、普段着を脱ぎ、着てみると関節部部分の皮当てに重みは感じられず、
全体に、少し重み感じたが、動きには、まったく影響がないように思えた。
「うん、重さは気にならないよ」
「そうでござるか。
斬属性には抜群の耐性があるでござるが、突耐性に弱いでござる。
そこで、それを補うのがドラゴンの皮でござる。
そして、魔法の耐性は、ベースにした上法衣のユニークスキルで補ってるでござる」
「いいとこどりなわけだね。
どう、リイナ、似合う?」
「うん、似合ってるわよ」
「エドワードさん、大事にするよ。
ありがとう」
エドワードさんは、満足そうにうなづくと、特に話題もなくなったため、
しばらくすると解散となり、この場には誰も居なくなった。




