第279話 間話 ヒビキ離脱 最終日当日 後編
急いで、向かったが、高台から逃げ惑う人々が、邪魔で一刻ほどかかってしまった。
ヒビキとは、反対側の門から侵入すると、辺りには、やられている兵士が多数いたが、
リイナ達には、どうすることもできなかった。
「なにか、大変なことが起きてるわね」
「みつからないように、静かに、いこうね、ナナねぇ」
奈々(ナナ)は、槍を取り出し、静かにうなずくとリイナの後に付いて行った。
リイナは、倒れてる兵士が多い多いほうに進んでいると、剣のぶつかり合う音が聞こえてきた。
「様子を見るため、高いところに陣取るわ」
海側の壁に回り込みながら、すこし小高い陸地の陰に隠れると、辺りを窺った。
「奥の二人は、やばいわね、あれは、ユカリでも持てないアダマンタイト製ね。
わたしじゃ、ダガーでも持てないのに、大剣を軽々振ってるわ、恐ろしい……」
「手前のドワーフ二人は、誰かわからないけど、右奥がヒビキよ。
その奥が妹のアンナね。
ふふふ、ヒビキがいっちょ前にかまえちゃって♪」
「喜んで魅入ってないで、
手伝いにいかないでいいの?
「もう少し苦労したら、バーンとでて、
わたしの雄姿を見せつけてあげるわ!」
ヒビキの様子をじっくりと見ているリイナの横で、奈々(ナナ)は呆れて辺りをみていると、
反対側に、同じように食い入るように見てるピンク髪の女の子を発見した。
「リィちゃん、向こうにも、同じように見てる人がいるよ」
「えっ!」
リイナが、奈々(ナナ)が指さしたほうをみると、反対側のモモも気が付き、お互いが何をやろうとしているか瞬時に理解した。
モモがにやりとすると、飛び出し口上し、活躍し始めた。
「しまった、先をこされちゃった。
ナナねぇ、いくわ」
「まったく」
こうして、二人とモモは、ヒビキを助けるために、飛び出して、いろいろなことがあって、なんとかハヤテを倒すことができた。
その後、リイナの本当の戦いが幕をあけるため、緊張して顔が固まっていたが、
しばらくすると、パトリシア予測したとおり、モモがいる飲み会が始まった。
パトリシアから、いくつものパターンを聞いており、この後の展開も考えると緊張は高まり、胸のどきどきが止まらなかった。
「……で、そんなことがあったんだ」
「へぇ、そうなのね」
気もそぞろのため、ヒビキの言うことは、ほとんど耳にはいってなかったが、そんなリイナの気持ちとはよそに、
モモと奈々(ナナ)が、飲み物をもってやってきた。
パトリシアの想定どおりに、モモが、イヤリングを自慢すると、臭いぐらい演技悔しがる素振りをリイナが行い、
隣に座っていた奈々(ナナ)は、これは駄目だと思い、苦い顔をした。
だが、パトリシアが予測した通り、モモが勝ち誇ったようにキスの下りとなった。
奈々(ナナ)は、ひとり蚊帳の外で俯瞰して様子を窺っていいたが、笑い出しそうなくらいの大根演技をリイナが
披露すると、奈々(ナナ)は、こらえきれず、顔を机の下に向けて、声を殺して笑いだした。
奈々(ナナ)の想像とは裏腹、にヒビキが追いかけていったので、リイナの援護射撃として、モモに酒を進めて、
当時の様子を聞き手役として、相手をするのだった。
モモは、勝ち誇ったように自慢話をしていたことで、奈々(ナナ)やパトリシアの思惑を計算できなかった。
リイナは、モモの話を聞いて、パトリシアに行っていたとおり、席をたって店をでると、あれでよかったのかしらと冷静になりながら、
彼女の指示とおり、海に向かい、ヒビキが来るまで静かに待つことにした。
すべてがパトリシアの手の中で踊らされているヒビキは、時間すら想定の範囲内の一時間で、高台にあがって様子をうかがった。
浜辺の近いところから、遠目のスキルで見ていたリイナは、ママには絶対かなわないな思ったが、
この後の展開も、一言一句、言われたとおりに進めることを、改めて誓ったのだった。




