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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
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第277話 間話 ヒビキ離脱 6日目

 朝早く起きると、魔馬車はもう大行列だった。リイナ達も朝ご飯を食べずに最後尾に並ぶとなんとか乗ることができ、危なく魔馬車に乗り切れないところだった。

「ご飯は、魔馬車内でとることになりそうね」

「そうね、ふぁぁ、早く寝たいわねぇ」

 奈々(ナナ)の目の下は、クマができ、昨日、たくさん泣いたないたことで、はれぼったく膨らんでもいた。


 半刻ほど経つと、魔馬車がやってきて、ぞろぞろと乗車し、出発時間前に人数が埋まるとさっさと出発した。

 奈々(ナナ)は、リイナをまくらに眠り始めると、リイナも同様に眠り始めた。

 途中に村はなく、半日ほど進んだところで、高台に到着しある程度の広さがあるため、休憩となった。

 奈々(ナナ)とリイナは、近くに座ると、朝ご飯を食べることにした。

 リイナが、バックから、料理を取り出すと、それは、ジョルジュにおごらせた店で大量にあまった料理を持ち替えりにしたやつだった。

 奈々(ナナ)は、由香里(ユカリ)のことを思い出すと、また目に涙を浮かべたが、忘れるらめに、一心不乱に手を出し始めた。

 リイナは、そんな様子を優し気に見つめながら、カルボナーラを食べ始めた。

 辺りを見回しても、酒を飲み始めたり、同じようにいろんな食事をしながら、雑談をしたりとにぎやかだったことで、奈々(ナナ)の気を紛らわせた。


 一皿を食べ終わると、リイナは、ヒビキのことが気になり、水晶玉を取り出し、パトリシアと通信を始めた。

「ママ、おはよう」

「おはよう、リイナちゃん」

「今は、シュンセルに向かってるとこ」

「そうなの、ヒビキちゃんは、おととい迷宮都市について、

 どうやら、ダンジョン攻略で、姫様たちと一緒みたいなのよ」

「え、あの壊姫と?」

「そうなのよ、アンナちゃんとアドアちゃんも

 一緒にいってるから、いろんな意味で心配なのよ」

「い、妹にとられたら、どうしよう……」

「まぁ、私としては、どちらでも」

「ママ!」

「冗談よ、それに。

 ジュウベエの様子がおかしかったのよね。

 で、問い詰めたら、ハンさんと喧嘩して、焚きつけたらしいのよ」

「ど、どういうことなの?」

「どうやら、ヒビキちゃんをモモちゃんの相手にって、気にいったみたいでね」

「どうして、そんなことに」

「まぁ、あの娘も、親があんな出しね。

 相手がこの大陸ではいなくて、苦労してるのよね」

「本人のせいもあるでしょ!」

「そういわずにね。

 で、そのときの会話に、モモちゃんが、ヒビキちゃんから、貝殻のイヤリングをもらったらしくて……」

「わ、わたしも、もらってないのに!」

「ジュウベエと同じ動揺しないの、もう」

「だ、だって……」

「きっと、買ってくれてるわよ、ヒビキちゃんを信じなさい

 もし、買ってなかったら、おねだりして、もっといいものを買ってもらえばいいのよ」

「う、うん」

「泣きそうな顔しないの

 そのお礼に、ほっぺたにちゅーしたんだって」

「きぃ!モモのくせに!!」

「小さなことで怒ったり泣いたり、この子は、まったく。

 したかったら、あなたもすればいいでしょ!」

「そんな、簡単に」

「いいわ、そんなあなたのために、私がとっておきの策を練ってあげるから、

 私を信じて、従うのよ!」

 そういうと、パトリシアは、今後の展開を予想し、幾つものパターンと展開を考え、懇切丁寧にリイナに教えた。

 いろいろ疑問に思いながらも、信じて、話を聞いていると出発の時間の鐘が鳴り響き、周りは片づけ始めた。

「じゃ、そろそろ出発の時間だと思うわ。

 また、ママ」

「はいはい、ちゃんと私を信じなさいよ!」

 通信を切り、奈々(ナナ)と共に、体の全身を伸ばしながら、魔馬車にのった。


 また、魔馬車は、ゆっくりと進み、三刻ほどたつと、最後の休憩場所についた。

 美しい芝生がひろがっており、辺り一面美しい海が続いていた。

 遠くのほうには、朝に出発したモンテリンクの街並みが小さく見えていた。

「さっき、面白そうな話をしてたわね、手伝ってあげるわ」

「ありがとう、ナナねぇ!」

 体を伸ばし、海からくる風を感じ、涼しくなると、二人で魔馬車に戻った。


 一刻ほどの休憩予定だったが、半時もすると全員が乗り込み、確認が終わると朝のように出発した。


 海沿いを縫うように移動して、整った街道のため揺れは少なく、海風が気持ちよく頬をなでると、

リイナと奈々(ナナ)は朝と音字用に体を寄せ合い、しばらくすると、由香里(ユカリ)との冒険をした夢をみていた。


 そんな彼女らとは、関係なしに魔馬車は順調に、町に進んでいった。

 朝も昼も早く出発したことにより、予定時間よりも一刻ほど早く、交易都市 グローレットに到着した。

「結構、早く到着したわね」

「そうね、ナナねぇ」

「リィちゃん、ポーション買いにいかない?」

「は~い、ポーションは、ユカリねぇの役割だった物ね」

 三人の役割では、長物を持っている奈々(ナナ)よりも、片手武器の由香里(ユカリ)のほうが、

ポーションを使いやすかったからだ。


 少し、寂し気な気持ちになりながら、近くの魔法屋に入ると、店員が泣いており店主が慰めていた。

「どうかしたんですか?」

「それが……」

 店員の言うことには、変な服装を着た冒険者がきてから、ユニークスキルが使えなくなったとのことだった。


 この冒険者こそ、ハヤテであり、精密鑑定のユニークスキルをゲットし、市場でお得なものをいっとき借りうけ

差額でお金を稼ぎなんとか食事をとることができるようになった。


「そんなことがあるんですね」

「ねぇ」

 奈々(ナナ)とリイナは会話をしながら、六本ほど買うと、店を後にした。


 リイナは、奈々(ナナ)のことを励まそうと、いいホテルに泊まることを提案した。

「ナナねぇ、今日ぐらい、いいホテルで、贅沢しよう!

 まだ、お金も残ってるし、どう?」

「そうね、ユカリが、悔やむぐらいに使ってやるわ!」

 奈々(ナナ)が少し元気が出たのを確認すると、町の中央にある一番大きな建物に入って行った。

「一番いい部屋をお願い」

 リイナと奈々(ナナ)の恰好でフロントの担当に怪ぶまれたが、前払いすると、態度が一変した。


 最上階に連れて行かれると、10部屋以上のフロア全て、二人の貸し切りとなり、彼女たちが自由に使用できた。

 屋上一面の露天風呂も彼女たち専用となっており、屋上から見える風景は、この町で一番高い位置の建造物であったことから、町中の全てが見渡せた。


 リイナ達の部屋の担当に、お酒を数本注文し、部屋に届くと、二人でお酒をもって、屋上にいった。


 露天風呂に入りながら、夕日を見、夜景を見て、つまみを食べながら、語りあった。

 まったりと長い時間を過ごすと、奈々(ナナ)の心は、だいぶ晴れていき、眠くなったところで、

キングサイズのベッドに移動し、二人で仲良く並んで眠ったのだった。


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