第275話 間話 ヒビキ離脱 4日目(夜)
リイナは、彼女につれられ、一人では迷子になりそうな入り組んだ城内を通っていくと、奥まった彼女の私室に入っていった。
部屋の中では、大きな円卓がおかれており、中には、いくつもの部屋でできていた。
円卓に隣同士で、座ると、前回会った話し始めた。
「ジュウベエやパトリシアには、毎年暇を見つけては、会ってるのよ。
今年は、アンナちゃんとも、会ってるわ。
リイナちゃんとは、ずいぶんになるわね」
「そうなんですか。
私は、しばらく、先ほどいた二人と大陸中を回ってたんですよ」
「へぇ、そうなのね。
いつここにきたの?」
リイナは、これまでの経緯を、話すと、静かにジュシアは聞き入っていた。
話しが終わるころには、ずいぶんと時間がたち、夕闇があたりを包んでいた。
「大変だったわね。
それに、一刻も早く王都に旅立ちたいわよね……」
「そうですね、明日には、魔馬車で旅立とうかと思ってます」
「それは……難しいわね。
もう、門は閉まってるし、明日の昼に開いて、魔馬車のところだと、
二刻は、かかるから、出発の時間には間に合わないわね……」
「そ、そうなんですか」
リイナが、寂しそうにつぶやくと、ジュシアは申し訳なくて、謝罪するしかなかった。
静かになったタイミングを見て、円卓に料理や飲み物がが一気にやってきて、円卓を埋めた。
「ごめんなさいね。彼に突き合わさせて。
もっと早く分かってたら、なんとかできたんだけど……」
「諦めます。
せっかくの機会ですから、パパと冒険してたときの話を聞きたいです」
「いいわ。いろいろと教えてあえる。
おなか空いてるでしょうから、食べながら聞いてね」
リイナは、高そうな料理を一口食べては、相槌をうっていった。
20年ほど前、十兵衛と半とシスターと魔法使いこと、ジュシアは、ベラセモタ大陸を一周し、
全てのダンジョンを攻略すると、やることがなくなり、解散という話になった。
だが、それだけだと味気ないため、探して話題にあがったのが、隣の大陸 キッテリカ大陸に渡り魔王討伐をだった。
現在の魔王 バートの前王 ジャラアカは、恐怖政治を敷いており、人々に不本意な規則が多数敷かれており、
自由がなく、国交も断絶していることで、商業や発展が沈んでいた。
諸島でなりたっていた大陸では、とれる食料も異なっており、行き来を行うことで、なんとか暮らしていけてたが、
規則で行き来ができなくなると、栄養が偏り、病気が蔓延し島民は不満を募らせていた。
そんな風の噂を聞いた十兵衛一行は、最後の冒険の相手として、魔王 ジャラアカの討伐に向かった。
彼らは、相手に合わせて型を自由に変える王佐流剣術、相手を選ばず塵に化す接近戦最強のハン式拳闘術、大規模魔法の使い手で大陸一として有名だったジュシア、
どんな怪我も一瞬で全回復するシスターとして、見合う相手が大陸にはいなかったのだ。
密航を行う手筈は、半のつてで簡単にいき、魔王の城に静かに入城すると、城には副魔王ひとりしかおらず、静かなものだった。
噂とは異なり、魔王は卑怯な手を使わず、在の魔王 バートが、未届け人として、1対4で魔王と戦闘を行うことになった。
一刻ほど、死闘を繰り広げ、十兵衛がぎりぎりの一撃、王佐流片手刺突術奥義 鳳凰嘴弐で勝利をした。
ヒビキの一撃をかろうじてよけれたのは、この時の戦闘をバートが目に焼き付けていたからだった。
十兵衛がリイナの幼馴染だったスズネに、遊びながら教えた剣技が、回りまわってヒビキに教えられた。
子供だったスズネは、名前までは覚えられず、好き勝手な名前を付けたことで、ヒビキが王佐式であることをしることはなかった。
魔王との討伐の報酬として、現魔王から、十兵衛は、ユニークスキル スライム改変をもらい商売をジュシアと行っていくのだったが、リイナが机に突っ伏したところで、魔王討伐付近で話は終わった。
リイナは、話に聞き入っていたことで、お酒が睡魔を連れてきていた。ジュシアは、そんな彼女の様子を見ると、結末を短くしてゲストルームにつれ、ベッドに眠るまで頭を撫でてやった。子供のころに戻った気になり、しばらくすると、柔らかいベッドの感触のまま、眠りにおちていった。




