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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
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第270話 間話 ヒビキ離脱 2日目

 リイナは、口論に夢中になり、朝食を食べそこね、時間はお昼を過ぎ、魔馬車へは、乗れずじまいになった。


 パトリシアと話し、一日家にとまり、次の日の朝一で出発することにした。

 ジュウベエからの連絡が来たが、まだ、眠っていることと、嵐が収まらずそこに停滞しているということで、何もすることがなかった。


 リイナは、十分に休養をとって、早めに眠ると太陽が昇るのと同時に目が覚め、お風呂でゆっくりし、

朝食を食べに食堂に向かうと、朝ご飯の準備がしてあった。


夜のうちに準備をしておいたパトリシアに感謝をしながら、食堂で食べると、彼女もおりてきて、娘の食べる姿を愛おしそうに見ていた。そんな様子に気づかないまま、急いで食べてしまうと、直ぐに魔馬車に向けて出発することにした。

「気を付けてね、それに、ちゃんと連絡するのよ」

 パトリシアは、連絡用に水晶玉を渡すと、自宅で使っている馬車が出発できるように手配した。

「じゃ、ヒビキのことで変わったことがあったら、連絡頂戴ね」

 馬車に乗り一日前に乗り遅れた、魔馬車の最後尾に並ぶと、今度はちゃんと乗り込むことができた。


「なかなか、快適ね、それに、馬車よりもすごく速いわ」

 魔馬車は、普通の馬車の二倍以上の速さですすみ、午前中時間だけで、昨日泊まった場所を追い越していた。


 魔馬車の窓からくる風が気持ちよく、うとうとしていると、お昼時になり、アクレクの村で、昼食と休憩のようだった。


「ひとりは、味気ないわね。

 かといって、他のパーティに入るわけもいかないし……」

 リイナは、ヒビキやユキナ、ジーンなどを思い出したが、流石にここにいないことに気づき、

エルフの廃墟まで一緒だった女冒険者二人を思い出していた。


「あの二人は、まだ、向こうの大陸で冒険してるのかしら……」

 最後の一口のクッパを食べると、まだ、だれも戻ってきていない魔馬車に戻り、眠りについた。


「ふぁ~」

 ひと眠りし、起きたところ、だいぶ時間がてったいるようで、間もなく日が落ち、夕暮れがかってきた。

 リイナが前方を見てみると、大きめの町が見えてきた、豊穣都市 ターバレスだ。


 この大陸のなかでも、有数の大都市だが、ほかの都市と比べて、特別何もない残念な都市だ。

ゆえに、農業が盛んで、農作物がほかの都市よりも多く生産されていた。


 魔馬車は、ゲートの近くにつけると、乗り合いの人間を降ろしていった。


「どこに、泊まろうかしら、それとも、先に、食事にしようかしら」

 リイナが歩いていると、後ろから女冒険者に声をかけられた。


「リィちゃん、りィちゃん、じゃない。

 心配したのよ」

 リイナが旅をした際に、三年一緒に冒険をした最上(モガミ) 由香里(ユカリ)だった。

 その後ろには、捧 菜々(ササゲ ナナ)も、懐かしそうに彼女をみていた。


「私もよ、リィちゃん」

「久しぶり、ユカリねぇ、ナナねぇ」

 彼女たちは、抱き合うと、近くの酒場にはいっていった。酒場では、リイナがこれまでにあった話すと、小一時間かかった。

「そんなことがあったのね」

「数日だけなのに、すごいことをやってのけるわね」

 由香里と奈々は、顔を見合わせながら、リイナの話を聞き入った。


「それにしても、リィちゃんに先に男をとられるとはね」

「まったく、昔は、そんな娘じゃなかったのに」

「そ、そんなんじゃないし、……まだ。


 それに、しても、二人はどうしてたのよ」

「それはね……」

 彼女たちは、エルフの廃墟で1Fを探索をし終わり、一刻も立たずに戻ってみると、いるはずのリイナが忽然と消えており、パニックになった。

 二人は相談すると、来た道を戻り、リイナを探しながら、急いで、出発した村のクテリトに戻った。


 だが、この時、リイナ(ヒビキ)は、クテリト村とは反対側に進んでおり、シャルルがいたネイアニューの村の方角に逃げていた。


 クテリトで、一日、二日と村人に話しかけながら待ったが、音沙汰が一つも聞けなかった。


 彼女らは悲しみに包まれながら、交易都市 スロリプを経由して、聖都 エイトビに希望を求めた。だがエイトビでも大した情報は拾えなかった。


 逃げるように大陸を離れ、リイナたちより数日早く、この大陸 ベラセモタに来ていた。町で数日すごし、ゆっくりこの大陸を一周するかと、二人で話しながら歩いていたところ、ターバレスに着くなり、探していた彼女を発見したのだった。


「じゃ、リィちゃんは、この後、彼に会いに王都に行くんだ」

「青春だね」

「そ、そんなんじゃ。ヒビキと妹のアンナに会いに行くのよ。

 ねぇ、二人が暇だったら、一緒にどう?」

 彼女らは、当然といった形で快く嬉しそうに返事をしたが、しばらく男と会話をしていない二人は、リイナに対し、嫉妬の目で見ていたことに気づいていなかった。

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