第264話 姫様の必殺技をみてみよう
「見ててください」
彼女がそういうと、僕たちは、目配せをし、距離をとり、ガン見し始めた。
「リーディングスワロー!」
先ほどのように、一気に間合いをつめると、男たち前回のようにならないように、剣刃を下に落とした。
「フライハイ!!」
このままだと、剣先に突っ込むと思った瞬間、踵で急速に止まると、膝をばねに、くるりと彼らの上を舞い、上空から、彼らの両肩をつらぬき、片膝をついて、華麗に着地した。
「すごかったな」
「ものすごかったですね」
縦横無尽に大きさ形をかえる肉まんは、背中をむけている男二人以外の男たちを魅了していた。もはや、余裕のある男たちは、すべて彼女の正面で対峙し魅了されていた。
そんな、阿保なことをしているところで、姫様の声が聞こえ、必殺の一撃をくりだすところだった。
「影十字鳳凰斬り!」
左手の大剣をハヤテに投げつけると、くくりつけていた鎖でひっぱることで、大剣に乗っかった。一瞬だけ剣の腹を足場にすると、ハヤテの頭上に向けて飛び上がった。
ハヤテは、すさまじい速度でやってきた大剣を上段からたたき落とすと、反動を利用し上空にいた姫目掛けて大剣を真上に構えたが、一歩遅く、すでに姫様の剣先は、頭の上にあった。
ハヤテは、急いで、体をずらし、頭への直撃は避けたが、首筋から鎖骨にかけて剣先があたった。
ガチッ!
剣先は、少しめり込んだだけで、歩みをやめ、少しだけ、傷をつけただけのようだった。
「なんだ、こんな、か。
つまらないな……」
彼は、彼女の攻撃で致命傷にならないことを確認したことで、防御を考えずに縦横無尽ンに攻撃し始めると、姫様は、防戦一方になっていった。
僕は、周りを見回すと、一方的な展開で、どうしようもなくなっていったことを理解した。
最後の希望の姫様は、厳しい状況で、勝ちがみえない、二人のドワーフはお互いでカバーしあうことで、6人と戦っており、ペテさんは、魔法使いに打ち勝ったが、相手がマナポーションで回復されると、そのうちペテさんが、魔法を打てなくなるだろう。20人以上を相手に、アンナは戦っているが、怪我をさせても、ポーションで、回復しまた戦線に戻ってきていた。
僕のほうは、二人とチャンバラをしながら、意見の交換をしながら、仲を深めていった。仲を深めたことで、周りを見回せるんだが、絶望的な未来に、思案が決まらなかった。
だが、彼女が現れたことで、状況は一変した。
「ヒビキ、待たせたわね
あたしが来たから、もう、大丈夫よ!」
そこには、白い貝殻のイヤリングを付けた女性が仁王立ちで立っていた。




