第262話 王様に近づいてみよう
「お父様!」
エレメール姫がさした視線の先は、偉そうな人は膝で立たされ、殴られた後はあったが、意識はありそうだった。
彼は、エレメールに視線を移すと、
「エレメール逃げろ!」
ドガッ!!
禿げ頭が、彼の腹を蹴り飛ばすと、彼は苦悶の表情に変わり、床にうずくまった。
「馬鹿な!ありえません!!!
モーリス王は、強固のユニークスキル持ちで、傷つけることすら、困難なはず」
絶句しているペテさんを蔑むように、禿げ頭の男が馬鹿にし始めた。
「ハヤテ様は、肩を触ることで相手のユニークスキルを奪うことができるんだよ!
そこで、転がってるのは、何のスキルも持っていないただのおっさんだ、ぎゃはは」
下品な笑い声をうかべていたところに、ハヤテと呼ばれた男は、持っていた大剣を、禿げ頭の首筋にあてた。
ジャキッ
首筋からは、薄皮一枚傷ついたのか、ゆっくりと一筋の血が流れた。
「ヒィ」
「ゴーラリオ、しゃべりすぎだ
まったく、お前は、ほんと使えない」
一呼吸おくと、満足したのか、首筋の大剣をはずした
「あぁ~、つまらない」
「す、すみません、ハヤテ様」
早口で謝罪した禿げ頭の額には、冷や汗がどっぷりと流れていた。
姫様は、大剣を二本取り出すと、軍団に向かって走っていった。
「うるさい、なの!!
お父様を返して、もらうなの!」
男たちは走ってくる姫様から、距離をとり、ハヤテまでの道があき、正面までくると、勢いのまま、頭上に必殺の大剣が降っていった。
僕は、この後の惨殺な光景を浮かべると、苦い顔をしたが、
取り巻きたちは、笑ってにやにやしているのが、気に入らなかった。




