第257話 丈のたりない女性服を着てみよう
体があたたまり、みんなで部屋に戻ると、ドワーフたちがお腹をすかせて待っていたようだ。
「ヒビキ、遅い、なの!」
テーブルに上には、料理が多数乗っていた。
どうやら、ホテルの人たちが、朝ご飯を準備してくれていたようだ。
「すみません、お待たせしました」
「まぁ、いいなの」
軽く謝罪し、僕たちは、急ぎ足で、空いている席に座った。
「では、いただきますじゃ」
全員がすわると、オオストラトさんの合図に、みんなが各々好きなように食事を始めた。
相変わらず、ドワーフのおっさんたちは、お酒を水のように飲み始めていた。
「ヒビキも、飲む、なの」
僕は、状態異常を無効に切り替えて、姫様から、グラスをとり、一気に飲み干した。
それは、夜に飲んでいたお酒ではなく、ホテルが用意した冷え冷えのエールだった、
ぷっはぁ~!!
お風呂上りには、とてもうまかった。
「いいのみっぷり、なの」
かわいいお姫様が、空いたグラスにお酌してくれると、更にうまく感じられた。
かといって、宴を続けるわけのが目的ではないので、
そうそうに、お腹が膨れると、各々の部屋に戻り、冒険への準備を始めることになった。
二人が僕の部屋に移動してきたのは、驚いたが、気にしないことにした。
「アンナは、鎧をどうするの?」
「子供のころに使ってた鎧をきます。
……
どうです、似合います?」
彼女は、白い鎧を着ていたが、胸の上部は露出しており、谷間がはっきりと見え、へそや太ももなど、
依然と大きく異なった露出の高い外見をしてた。胸などは、かなりきつそうで、溢れていた。
「と、とてもかわいいと思うよ。
前と違ってだいぶ大胆な服装だね」
「そうですか?
あれは、パパに着ろっていわれたんで、使ってたんでですけど……
前は、これで、騎士の学校に行ってたんです」
大体の理由は、直に判った。
それよりも、学校の生徒の眼に毒だった……目の保養、
どちらが正しいかは、人によるのだろうか、と思いながらも、僕も学校に行って、見てみたかった。
「アンちゃんは、昔から、スズネさんのファンだったもんね」
「なるほど」
そういえば、スズネも、今のアンナよりも露出の高い防具をきていたのを思い出した。
「それはそうと、ヒビキ兄さんは、防具どうするんです?」
「う~ん、そのまま、着るしかないかなぁ」
「それは、お勧めできませんね。
防具のユニークスキルは、発動しませんしね」
「そうなの?」
僕は、鑑定をすると、以前にあった物理耐性【中】魔法耐性【中】が、でてこなかった。
「何ももってないんですか?」
「うん。それに、持ち合わせもあんまりなくて、買えそうにないんだよね」
「私のスペアだと、女性用でヒビキ兄さんに合わないですし……」
「じゃ、私のを貸してあげます」
アドアは、バックから、彼女が来ている服と同一の服を取り出して、手渡した。
ニコニコして渡されると、否定がしがたかった。
僕は、受け取り彼女の服を着ると、明らかに女性用の服で、そればかりか、
ひざ丈が足らず、水色のズボンが膝から見えていた。
「似合ってますよ、ヒビキさん。
一緒ですね」
「ぷっぷっっ、お似合いですよ、ヒビキ兄さん」
これで、混雑しているダンジョン前を進むかと思うと、絶望に打ちひしがれた。
「ヒビキ、まだ、なの?」
前室では、お姫様がいら立っており、着替え直す時間もなさそうだった。
これで、行く覚悟を決めるしかなかった。
僕は、諦めて、ドワーフたちの前に立つと、
みんなは、腹を抱えて笑い出し、しばらく出発するのが、遅れる原因になった。




