第256話 痣の確認をしてみよう
目を覚めると、ベッドの中に居た。
両脇に重い感触があるのが判ると、誰かが二人いることが、直に分かった。
毛布を捲くろうろ思ったが、両方の手には、
片方づつ握られていて、起こすのをためらった。
手を動かした違和感からか、二人の美小女が目を覚ましたようだ。
「「ん、んっ…」」
「おはようございます。ヒビキ兄さん」
「おはようございます、ヒビキさん」
「おはよう、アドア、アンナ」
彼女たちは、上半身を起こすと、僕の体も必然的に、
上半身を起こせた。
挨拶したからか、頭がシャキッとしてくると、
僕のボーナスステージが終わっていないことを理解しはじめた。
「さぁ、ヒビキさん、アンちゃん
一緒にお・風・呂・い・こ♪」
「ヒビキ兄さんが行くなら、行ってもいいわよ」
「ねぇ。ヒビキさん、お願い!」
美少女は、手を放して、両手で拝むようにお願いされると、
僕の答えは、イエスかハイの二択しかなかった。
「じゃ、いこうか」
「「はい!!」」」
彼女たちは、笑顔で喜んでいるが、彼女以上に喜んでいる僕は、
顔に出さないようにするのは、至難の業だった。
しっーーっ!
二人の美少女に、ドワーフたちを起こさないようにさせると、静かに部屋をでて、
大浴場にむかった。
二人より早く着替え、真っ先に洗い場に向かった。
そうしないと、彼女たちは、洗うといいかねないからだ。
「「私の背中を洗ってください!」」
彼女たちは、正面から見ないようにしていると、
背中から、声が聞こえてきた。
「はいはい。二人とも洗ってあげるから、
背中を出して」
「「えへへ♪」」
顔を見合わせて喜んでるふたりの背中を、
片手づつで、ゆっくりと洗っていった。
ひゃはは、いひひといった声が聞こえていたが、
楽しみながら、ゆっくりと洗い、終わると、お湯を頭から、流していった。
「「ひどいです、ヒビキ……」」
文句を言ってるそばから、更に頭からお湯をかけると、
ブクブクいいながら、顔にかかったお湯を切っていた。
そんな様子をみながら、彼女らをおいて、
庭のあるはじっこに歩いて行った。
「ちゃんと、前も洗うんだよ」
「「は~い♪」」
とりあえず、言うことは聞くみたいだな。
僕は、庭を見ながら、昨日の白い獣がいないか見たが、
見つけることができなかった。
ようやく、一人の時間になり、振り返ると、
寂しさと静けさからなのか、ふとリイナのことが気になった。
元気でやってるかな、僕が思いにふけっていると
頭から、水をかけられた。
「うひゃぁ」
「「お返しです」」
やられた。
彼女達は、気づかれないように静かにこっちに向かって来ていたようだ。
僕は、顔にかかってる水を手で拭うと、右側にアンナが、
左側にアドアがくっついて、横並びに座った。
「今日は、いないみたいだね」
「残念です。でも、隣にヒビキ兄さんがいるから、
昨日より、うれしいです♪」
「私も、アンちゃんとヒビキ兄さんがいるから、
昨日よりも、うれしいですよ♪「
二人の笑顔を見てると、自然に僕も笑顔になった。
「あれ、ヒビキさん、腕どうしたんです?」
急にシスターが僕の右腕を指さした。
僕は、なんのことかと、右手を見回すと、前腕の内側に、
スペードとハートのような痣ができていた。
「なんだろ、これ?」
「痛くないんですか、兄さん」
アンナものぞき込んでみてきた。
僕は、痣を触ったり突いたりしたが、
特に痛みはやってこなかった。
「痛くはないね。いつできたんだろう」
「痛くないんだったら、とりあえずは、
いいですかね」
「回復」
彼女の魔法が終わるのをまって、
もう一度腕を見たが、消えてはいなかった。
「やっぱり、傷とかでは、ないようですね」
「まぁ、気にしないことにするよ」
「「へんなの」」
彼女たちの返答は置いておき、今は、至福を楽しむことにした。




