第255話 美少女に餌付けをしてみよう
むしろ、チャンスかもしれない。
僕は、脳をフル回転させ、一計を案じた。
「ひびき、そっちに行っても、いいなの?」
「どうぞ、どうぞ」
どうやら、神様は、僕を見捨てていないようだ。
「どっちに、座れば、いい、なの?」
お姫様は、こっちに近づくと、僕の後ろから声をかけた。
僕は、ニヤリとすると、彼女を持ち上げ、
膝の上に降ろした。
「姫様は、ここです。
ただ、手を動かしても、足をばたつかせても、駄目ですよ。
僕が怪我しますからね」
これで、彼女たちの手を離すこともでき、自分でご飯も食べれるし、
話題も、姫様に移るはず、一石三鳥、いや、もしかしたら、4鳥かもしれない。
「久しぶりなの。
子供のころ、お父様に、してもらったぶりなの」
姫様は、にこにこしながら、こちらを見らりしていた。
成行きの急激な展開で、僕は、恐ろしくて、両隣をみることができなかった。
「ケガしても、回復してあげませんから!」
「ヒビキ兄さん、流石にヒキます……」
両方の耳に、聞こえるように小声で、呟かれた。
その言葉の抑揚から、ぞっとするほどの冷たい声だった。
「どうか、した、なの?」
「どうも、ありません、姫様。
何が食べたいですか?」
「あれが、食べたいなの」
姫様が、見つめた先には、マーボー豆腐が置いてあった。
僕は、左手で、姫様のお腹を支え、右手で一さじすくうと、
ゆっくり、彼女の口に近づけた。
彼女は、小さな口を一生懸命開けて待ってる姿は、かわいらしさが増していた。
はむっ
丁寧に食べたが、口の端に、少しこぼれたようだ。
僕は、指ですくったら、彼女の小さい口が咥えた。指には、柔らかな唇の感触と、
指を舐められる感触が来ると、胸がぞわぞわしてきた。
「ふっぐぅ」
「ヒビキ、どうした、なの?」
姫様が指から口を離し、心配そうに聞いてきた。
「な・ん・で・も、ありません」
僕は、両脇を二人の女性から、力いっぱいつねらるのを我慢しながら、
苦笑いで答えた。
「ヒビキ兄さん、オイタがすぎるんではないですか」
「すみません、やりすぎました……」
彼女らは、ようやく、つねるのをやめてくれた。
「ヒビキは、スライム戦、かっこよかった、なの」
「姫様の方が、一番活躍してましたよ」
「「えへへ」」
僕らは、お互いの顔を合わせると、笑顔になった。
姫様との邪魔をしたいのか、アンナが話かけてきた。
「ヒビキ兄さん、普通なら、スライムの体液で、骨も残らないに解けるのに、
どうして大丈夫だったんです?」
「多分、状態異常に対抗するスキルで、酸毒に抵抗したんじゃないかな」
「いいでしょ。何もなかったことが一番よね、ね、ヒビキさん」
シスターは、見つめるようにこちらをみていた。
今度は、エレメール姫が、話題に入りたいのか、こちらを見つめてきた。
「ヒビキ、飲み物、欲しい、なの?」
「はい」
僕は、アンナに注いでもらい、姫さまの小さい顎を左手で上げると、
小さな唇にグラスを付け、少しづつ流していった。
素直に、喉を鳴らして、ワインを飲む、幼女に、僕は生唾を飲んだ。
「ひぎぃ」
今度は、両脇の肋骨に指を突っ込まれ、痛さのあまり、変な声がでた。
「ヒビキ兄さん、何をしてらっしゃるんですか!」
「それは、流石にフォローできませんよ」
「た、たびたび、すみません」
それでも、グラスいっぱいのお酒を飲ませると、
とろんとした目で、お姫様は、困ったような表情で僕を見つめてきた。
「ヒビキ、飲ませすぎなの……」
小さなお口で、発せられたことばと、魅力的な唇に、
そのまま、吸い込まれそうになると、両耳から、ちぎれそうな痛みがやってきた。
「イタタタダ」
「ヒビキ兄さん!」
「ヒビキさん!!
「もう、ひませんから、話してください」
ようやく、彼女たちは、離してくれたが、耳が真っ赤になっているのは、実感できた。
「ヒビキは、楽しそうなの。
それにしても、ヒビキは、お酒も強い、なの」
「そんなことないですよ。
これも、状態異常を無効にしてるからで、いつもの僕なら」
そういって、状態異常を普通に変えると、急に眠気が襲ってきて、
姫様の背中をベッドにして、そのまま、眠りについた。




