第254話 誰と付き合ってるか名言してみよう
酒場のドアの前まで来ると、アドアを降ろした。
「さ、お姫様、ここまでですよ」
「食事も、膝の上でよかったのに」
そういうと、彼女は、左手をにぎり、腕を組んだ。
「じゃ、わたしは、こっち♪」
美女は、右手を握り、腕を組むと、柔らかな感触があった。
今日は、朝から、一日、骨折したりとひどい目にあったけど、
むしろ、いい日で終わるのかもしれない。
彼女らは、仲よく扉を開くと、奥では、既にできあがってるドワーフの一団があった。
「おお、ヒビキ殿たちじゃ。
だいじょうじゃったか?」
各々が、心配の声をあげていた。
一応は、心配してたのかもしれない。
昨日と同じように、奥に座ると、今は、三人が横に並ぶ形になった。
テーブルには、数々の料理が出ていたが、手つかずの美味しそうな料理が
多々おいてあった。
宴は、始まったばかりのようだ。
「さぁ、ヒビキ兄さん、あ~ん」
「ヒビキさん、あ~ん」
僕は、交互に、彼女たちに食べさせてもらっていた。
美味しい料理が何倍にもおいしく感じられた。
「ところで、なんで、兄さんなの?
「リイナ姉さんの婚約者なんでしょ?。
一緒に家に来るってことは、そういうことでしょ?」
彼女は、料理を口に咥えながら、目をらんらんとさせながら、こちらを見つめた。
僕は、手を離すと、正面のグラスにはいったお酒をのみ、気分を
落ち着かせようとした。
「いや、なんていうか、流れで泊ったというか、
なんていうか、連れられてっていうか……
っていうか、アンさんは、リイナの妹なの?」
「そうですよ。
私は、アンリ・オウサっでっす。
でも、付き合ってるんで・す・よ・ね♪?」
「いいぇぇ、なんていうか」
実際に、リイナとの関係性が判らなかった僕は、
なんと答えていいか混乱した。
とりあえず、近くのワインを飲みほした。
「つまんない」
彼女は、言葉尻で興味を失ったように答えたが、
表情は、目がらんらんとしてた。
「ユキナ先輩とつきあってるんですか?」
左のシスターが、更に僕を混乱させた。
「ど、どうしてそうなるの?」
「「だって、ねぇ」」
彼女たち同士で、視線を合わせ、当たり前だよねといった、
顔つきをしていた。
「ユキナ先輩が子供ころから、書いてた、王子様の絵に
そっくりなんですから」
「ねぇ」
彼女達が教えてくれたことも、理解できなかった。
「た、たとえ似てたとしても、
付き合ってるには、ならないでしょ。
っていうか、誰とも付き合ってないないよ」
「「じゃ、私が、立候補してもいいですよね」」
二人の大きな目が僕の眼の前で、ぱちくりしている。
こまっったなぁ
「だめ、なの
ヒビキは、私のヒビキなの!!!」
事態は、どんどんと混沌としていき、
僕は目の前のお酒を飲まざるを得なかった。




