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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
253/545

第253話 彼女と話してみよう

 時折抱き上げているエルフから、視線を感じていたが、

確認すると、目を瞑っており、肉まんの主張に目をとられ気が散った。


 周りの羨望の眼差しや中傷に耐えながら、進むと、

横には、ギルドが見えた。


 こんなに遅いとギルドが閉まってるから、通信は難しいだろうなぁ……


 考えごとをしながら、しばらく歩くと、ようやく、ホテルが見えてきた。


 昨日に比べると、精神的には、疲れていないが、肉体的には、疲れてる、

不思議な感じだった。


 ホテルの人に挨拶し、二人を連れて、部屋に戻ると、

姫様がドアを開けて、先にはいり、話しかけてきた。

「私のベッドを、使って、いい、なの」

「ありがとうございます」

 姫様の提案に乗っかって、キングサイズのベッドに並べて寝かせた。

 まだ、意識は戻っておらず、彼女らは、可愛らしい寝息をたてて、横たわっていた。


 僕は、エルフのそばのイスに座り、やることが無くなったドワーフに提案した。、

「夜も遅いですので、皆さんは、ご飯に行ってきてください。

 彼女たちが、目を覚ましたら、向かいますので、

 お気兼ねなく」

「わかりましたのじゃ。

 じゃ、皆の衆、いきますのじゃ」

 誰一人として、残るといわなかったのに、内心イラっとしたが、

この後のことを考えると、一人でいることのほうがよかった。


 扉の閉まる音が聞こえると、僕は、話しかけた。

「アンさん、起きてるんでしょ?

 もう、目を開けてもいいですよ」

 彼女は、片目で薄目をあけて、確認したかったようだが、僕に、見られてるのがばれると、舌をだして、おどけた。

 整った顔立ちに、崩した表情が、美しさより、可愛らしが増していた。

「ふふっ、ばれちゃった」

 初めて聞く彼女の声は、以前会話したエルフとどことなしか、似ている気がしたが、思い出せなかった。

「隠す必要なかったのに」

「だって、抱っこされたことなかったから!

 ……

 どきどきして、終わるのがもったいないあなぁ~って。

 目を覚ましたら、歩かされるでしょ?」

「そりゃ、そうなるけど」

「あの姿で歩かせようだなんて、変態さんだぁ」

、笑いながら会話をし、彼女は、片目をつむり、僕に向かって人差し指を上にあげた。


 彼女の様子をみると。意識をなくした後遺症はなさそうだ。


「服を着ればいいでしょ」

「あの場で、着替えさせるなんて、変態さんだぁ」

「上だけ羽織ればいいでしょ。」

「上だけ着させて、下着だけで歩かせるなんて、

 ……変態さんだぁ!!」

 どうやら、僕をいじって楽しみたいだけのような気がしてきた。


「うぅ。」

彼女とのやりとりで、アンドレアさんが、目を覚ましたようだ。


「ここは?」

「ここは、ホテルで、姫さまのベッドだよ。」

 彼女の様子を見に、近づくと、彼女と視線が合うと、

苦悶の表情を浮かべるクサイ演技をしながら、ベッドに倒れ。


「あぁぁ~」


 彼女は、穏やかな表情に変わり、仰向けで、ヘソの上で手を組むと、唇を尖らせ、

唇を少し開き、小声で話し始めた。

「さぁ、王子様の口づけで、眠りを解いてください」


僕は、呆れながら、頭を掻いた。

「さっき、普通に起きたでしょ!」

「そうだよ、アドアちゃん。また、げんこつを食らいたいの?」

「そ、それはいや!絶対イヤ!!」

 上半身を起こし、頭に手を当ててるところから、痛かったのを、思い出したようだ。


彼女は、アンさんから、僕の方に視線を向けると、

「そういえば、ヒビキさんが、運んでくれたんですか?」

「いや、エドワードさんに、頼んだよ」

「へへへ、私は、ヒビキ兄さんに、お姫様抱っこで、ここまで運んでもらったんだよ。

 うらやましいでしょ」

「いいなぁ、私もお姫様だっこされたい。

 あんちゃんだけずるい」


 ぐぅ〜。


 僕は、アドアをお姫様だっこすると、

「みんなが、酒場で、待ってるから、行こうか?

 アンさんは、服を着替えた、方がいいね

 先行ってるよ」

「やったー」

 彼女は、右手を僕の首に回すと、より、顔が僕に近づいた。


「ま。まってよ〜

 すぐに、着るから!!」


 僕は、器用にドアを開けて、彼女の返事を待たずに、部屋の外まで、

移動した。


 後ろから、走ってくる音が聞こえると、停まって待ち、ホテルを仲よく出て、

昨日行った酒場に向かったのだった。

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