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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
250/545

第250話 ボス部屋に入ってみよう

誤字修正

 十一階は、九階と似たような雰囲気だった。

 確かに、モンスターの種類は、増えているようだが、

今回も、意識する必要すら感じなかった。

 冒険者も時折見かけ、下の階から察するに、あぶれたか、

余裕のあるパーティが下か上で戦っているんだろうと推測できた。


 この後も、一階ごとに、半時ほど時間をかかったが、

十二、十三、十四階と苦労なく進んだ。

 冒険者も人が徐々に減っていき、十四階では、二組ほどしか見なかった。


 僕らも、朝からダンジョン移動で、疲れが顔にでて、どんどん会話が無くなっていった。


 十五階を降りると、今までと同じように、魔法を使ったが、

完全に慣れてしまったので、特に何の反応もなかった。

領域探索オールマッピング!」

 開いた本には、十五階のダンジョンの様子が書き込まれると、

階段の位置を調べる必要がなかった。


「ここですね」

「そうじゃ。

 ヒビキ殿を呼んだのも、このフロアのためじゃ」

 指をさした手前には、大きな部屋があり、十階と同じような作りになっていた。

「と、いいますと?

 姫様でも、勝てないような敵がいるんですか?

 想像し難いですね」

「そう、なの

 近づけない、なの」

「アシッドスライムがいるでござる」

「それも、ジャイアント級です」

「剣とか鎧とか、なんでも、溶かすんです」

「でじゃが、魔法に弱いはずなんじゃが、

 毎度、ペテの魔法だけだと、

 攻撃手段がなくなるのじゃ」

「ヒビキに期待してる、なの!」

「はい、がんばります!」

 ようやく、出番が来て、しかも、頼られている状況だと、

僕の心は、踊り始めた。


 気をよくしながら、道中を進み、向かってくる敵は姫様が殲滅し、大きな部屋が近づくにつれ、

どんどん緊張してきた。


 そんな僕の気持ちとはうらはら、無事に進んで行くと、

とうとう大きな扉の前にやってきた。


 いつものように、姫様が先頭を進み、ドワーフ三人の後に、

僕、その後、シスターと騎士の順番で入る予定だ。

「では、いきますぞ」

「行く、なの」

「はい、がんばります!」

 僕は、同じ言葉しか、思いつかなかった。


 扉を開けると薄暗くて奥まで見えず、いるはずのスライムの姿をとらえることができなかった。

「おかしいですな。いつもは、正面にいるのじゃが……」

「まぁ、いいなの。

 先に、行く、なの」

 彼らは気にせずいつものようにずんずんと進んでいき、

最後の騎士が中に入ると、後ろから扉が閉まる音が聞こえた。


 バタン!


 彼らは、いつものことのようで、振り向かなかったが、

緊張していた僕は、何事かと扉の方を振り向いた。


 かわいいシスターの()()()()()に、

巨大なスライムが張り付いていた。


 今、まさに、巨大なスライムは、騎士とシスターを飲み込まんとしていた。

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