第248話 鉱山フロアに進んでみよう
「順調♪順調♪順調に進んでますね、ヒビキさん」
後ろから、かわいらしい声が聞こえてきた。
「そうだね、アンドレアさん」
僕は振り向き、彼女に返答した。確かに、彼女の言う通り、全く問題がなかった。
むしろ、これまでが問題がありすぎなだけで、落ち着いて、進んで行けば、最下層に近いこの階で、けがすらも負うはずがなかった、骨折れたけど。
部不相応な姫様の滅殺。戦士に騎士、回復役に、魔法が使えるのが二人、偵察係が一と思い、全く仕事をしていないっていうか、考えてみると、やっぱり、一人しか活躍してなかった。
まぁ、いいか。僕はそれでも、一応マッパーしているしね。
言ってて、悲しくなったが、そんなことを考えるだけ、暇だった。
早々に、五階を攻略し、6階、7階と半時ほどで、階段が見つかり先に進んだ。
やはり順調だった。出てくる敵も、代わり映えしない、昆虫系の敵や、ゴブリンなどの下級モンスターばかりで、緊張感の欠片も沸いてこなかった。
そして、八階に訪れると、様相が変わっていた。
ダンジョンといえばダンジョンだろうが、どちらか問う言うと、鉱山の様相だった。
崩落対策の木組みがされていたり、明かりが随所にあった。
姫様も、ここでは、大剣をふるっていない。
「ここは、やはり」
「うむ、鉱山ダンジョンフロアじゃ。
他のダンジョンでも、発見されておるがの」
「敵は、でるんですか?」
「でないの、つまんないフロアなの」
なるほど、だから、みんな安心して、ずかずかと進んでるんだね。
「階段はあっっちじゃ」
いたるところに、看板があり、その一つに危険の看板があった。
「オオストラトさん、あれは?」
「あれは、発破じゃ。まぁ、火薬庫じゃな。
西の大陸からの交易でしか
手に入らなから、貴重なのじゃ」
「西っていうと、バート魔王様のところですか?」
「そうじゃ」
「やっぱり、あの人は、ただの酔っぱらいじゃなかったんですね」
「おぉ。ヒビキ殿はあったことがあるでござるか。
拙者も、一度は、ご尊顔したいと思っているでござる。
あの人の武術は、死ぬまでには、拝見してみたいでござる」
「そ、そうですか、見れるといいですね
確かに、シノブさんとは、すごい殴り合いしてましたしね」
「シノブとは、だれじゃ?」
「ギルドマスタのハンさんです」
「ぶッふォ
ヒ、ヒビキ殿、絶対ハンさんの前で名前で呼んでは駄目なのじゃ
殺されるぞ!」
「えぇ、想像どおり、悲惨な体験をしけました」
「ヒビキ殿は、見かけより、地雷を踏みやすいのでござるな」
オオストラトさんは、辺りを見回すと、一人の偉そうなドワーフを見つけて、指さした。
「あいつも、姫さまの地雷をふんで、今は、あそこで、個々の指揮をとってるんじゃ」
「地雷といいますと?」
「昨日の飲み会で、話した姫様を転んで、床に落としたのじゃ」
「え。今は土の中って、死んだんじゃ、ないんですか!」
「そんなことで、殺されるわけないじゃろう。
ここは、地下じゃろ。ここにずっとなんて、死んだみたいなもんじゃろ」
「違います。死んでません!!」
「そうでござるか、あの人の隣のドワーフも、落とした彼を介護して、
仲よくこっちにきたでござる」
「まさか、繋がってたとは、思いませんでしたよ」
「つながってとはなんでござる?」
「いえ、こちらの話です。
まぁ、誰も死人がでてなくて、安心しました」
「ヒビキは、私をなんだと思ってる、なの」
「とても、素敵なレディだと思ってますよ」
「それなら、いいなの」
そんなたわいもない話が終わると、階段が見えてきた。
ここは、苦労なく終わってよかった。




