第247話 4階に進んでみよう
「領域探索!」
僕は、降りる早々に魔法を唱えると、姫様の心は戻っており、
眼をキラキラさせて、僕をみていた。
「ヒビキ、ステキなの
かっこいいなの」
そして、探知の魔法で、階段の位置を探すと、
確実に二ヶ所あったが、行き方に問題があった。
片方は正面を進み、半時もしないでつくが、
もう片方は、後ろから進んで、ぐるっと半周する必要があった。
「オオストラトさん、これ、どんな風に、姫様に言いましょう。
明らかに、近いところで、なかったなら、
さらに遠回りになって、激怒しそうです」
「ヒビキ殿、その時は、その時じゃ、
まずは、近間から攻めるのが上策じゃ」
「判りました。では、近間からいきましょう」
キラキラした目をしたレディーに最初の行き先を伝えた。
「ここを目指してください」
「判ったなの、頑張ってすすむなの」
彼女は、戦慄の大剣を振り回すと、寄ってくる敵を
なぎ倒していった。
ダンジョンに入ってから、3時間は経過していたが、
まだ一体も倒していなかった。僕はこれが本当に冒険なのか、
不安になった。
そんな不安も、少し進むと、ポイントが近づき、不安が僕を包んだ。
やはり、不安は的中し、姫様の怒号がきこえてきた。
「ないなの。階段がないなの」
「姫様、奥にありますのじゃ、
今来た道を戻り……」
「私に戻れということなの!」
「いや、ですがじゃ」
あまりにも、理不尽で助け船を出すことにした。
「姫様、次は、必ずありますから」
「今は、オオストラトと話してる、なの」
ドゴン
姫様が怒りのあまり、右側の壁を叩くと、壁は、崩れ落ち、
奥に下へ降りる階段が見えた。
「あったなの。ヒビキ、早くいう、なの」
「オオストラトさん、と、取り合えず見つかったことを喜びましょう」
「そうじゃな、ヒビキ殿」
楽しそうに階段を下りていく姫様の後を、
僕は、何も考えないようにしながら、降りていった。




