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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
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第246話 彼女の心に寄り添ってみよう

 僕は、目を覚ますと美少女が僕の顔を覗き込んでいた。

 顔は鼻先まで近づいており、息遣いすら聞こえて来た。

「だいじょうぶ、なの?

 ごめん、なの。

 わざとじゃ、ない、なの?」

 姫様は、どうやら悔やんでおり、大きな目には涙でいっぱいで、溢れこぼれ落ちると、

僕に落ちていった。


 僕は、彼女のほほを伝う涙を両手でやさしく拭うと、上半身をあげ、

軽く抱きしめ、耳元で、囁いた。

「大丈夫です。足は痛くありません。

 怒ってませんから。

 泣かないでください。

 姫様は笑ってる方が可愛いんですから、

 笑顔でいてください……」

「本当におこってない、なの。

 許してくれる、なの

 嫌いにならないでいて、ほしい、なの」

 彼女の胸中は、測り知れなかったが、僕の答えは決まっていた。

「大丈夫ですよ。

 嫌いになんかなりません。


 ですから、両手でだきしめるのだけは、やめてください。

 また気絶します」

 僕は、抱きしめるのをやめて、彼女の顔をみて笑顔にとぼけると、

彼女は、判ってくれたようで、泣き顔から笑顔に変わった。

「わかった、なの。うふふふ」

 僕は立ち上がり、彼女を抱き上げて立たせると辺りを見回した。

一人の女性の眼が、軽蔑のまなざしで見ていたが、そちらだけは、見ないことにした。


「さぁ、4階にいきましょう」

「ヒビキさん、お礼の言葉はないんで・す・か?

 私が回復したんですけど!」

 あまりの冷たい声に、心底冷え込んだが、お礼は、述べる必要があった。

「ア、アンドレアさん、毎回、ありがとうございます。

 おかげで、傷が全回復しています」

「ええ、当然です。

 わ・た・し・が・ま・い・か・い・し・ん・ぱ・い・し・て


 回復してますから!!!」

 どうも、本気で怒っているのだが、僕にはなんで怒っているか、

まったく見当もつかなかった。

「じゃ、わたしも、抱きしめて、耳元で、愛を囁いてください」

 彼女は、両手を広げ、目をつむって顔をあげ、つま先立ちをしていた。


 ガシャンガシャン


 彼女の後ろから、だるまストーブのような棋士が近づくと、彼女の頭にげんこつを落とした。


 ゴチン!


 周りには、鈍い音がして、あまりの痛そうな音に僕も顔をしかめた。


 予想通り、彼女は、頭を抱えて、しゃがんでいた。

 騎士は、そんな彼女の首根っこを掴んで、階段をおりていった。

「アンちゃん、いたいよ~」

 彼女の泣き声が階段にこだまして、小さくなっていった。


 様子を見ていた僕らも、慌てて、下の階に降りていった。

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