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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
245/545

第245話 冒険者として使えるものを使ってみよう

 悲惨、この一言しか思いつく言葉がなかった。

 最下層のモンスターである、ゴブリンは危険を顧みずに、

エレメール姫を見かけると、つっこんで、そして、逝った。

 制空圏に触れると、少しずつ削れていき、最後は、液体も飛び散り、ポップしたアイテムも魔玉すら、

粉砕されていた。


 もし、冒険者が誤って突っ込んで行ったらっと思うとぞっとした。

 

 だが、直に、強烈な風切り音が、辺りに響いていることに気づけば、

冒険者は違和感を感じ、警戒すると考え直した。


 姫様がいて、すごい安心はできたが、それでも、通過後や、後ろからの敵を考え、

警戒していた。が、まるで、襲われる気配がなかった。


 姫様が思うままに進んでいるため、一刻、二刻と時間がいたずらに過ぎていった。

 僕は、あまりの非効率に口をださずには、いられなかった。


 いらいらしながら、オオストラトさんに詰問した。

「あの、マップとかとらないんですか?」

「なんじゃ、そんなのが必要なのか」

「そんな卑怯な真似は、いらないでござる」

「われらは、姫様の後を付いて行けばいいのです」

「私たちは、後ろを連れ立って行くだけですので……」

 彼らの発言が、あまりの他人任せとやる気のなさに、僕は、イラつきが増したが、

発言を分析すると、腑に落ちた。


 考えれば当然なのかもしれない、

 誰も来たくて、入りたい奴なんかこのパーティには、いないのだ。


 あっ、ひとりツインテールがいた。


 その後も、好きなように進んで、何度も同じ道を歩む、そんな事を繰り返すとと、

ようやく階段が見えてきた。


 僕は、ようやくかぁという安堵と、これから、ずぅっとかと思うと絶望した。


 お姫様も階段を下がるときは、大剣を振り回さないでくれたので、

少し安心をした。


 階段を下がりながら、僕は、提案をすることに決めた。

「お願いですから、次の階は僕の指示に従ってください。

 絶対、さっきより、早く階段を見つけてみせますから!」

「いや、なの!」

「姫様も、ああ言ってるのじゃから、諦めるのじゃ」

「そうですよ、姫様のいう通りでござる」


 この腰巾着の根性なし共め。


 僕は、本を取り出し、二階に着くなり、有無を言わさずに魔法を行使した。

領域探索オールマッピング!」

 開いた本には、徐々に二階のダンジョンの様子が書き込まれていった。

 

 初めて見る魔法に、パーティの全員が興味津々で、くぎ付けだった。

「すごい、なの!」

「すごい魔法ですじゃ、ねぇ、姫様」

「すごいでござるな」

「ヒビキさん、かっこいいです!」

「ふつうですな」

 一人の魔法使いは、素直に感想が述べれないようだ。


 全ての記述するが終わると、階段の位置を探すため、魔法を実施した。

探知サーチ!」

 頭には、このフロアの二つの階段の位置と方角が分かった。当然、一つは、降りてきた後ろの階段だ。

 僕はバックからペンをとりだすと、

 2階の書かれた地図に、一本の線を引いた。

「何をするなの。せっかく綺麗にかかれていたのに、なの!」

「そうですじゃ、姫様は、ご立腹ですぞ」

「そうでござる」

「これだから、若輩者の魔法使いは。はーっはは」

「ヒビキさん、そんなことしちゃだめですよ!」

 口々に文句をいう彼らに、分かるように説明する自信を無くした。


「今、階段の方角が分かりました。

 斜めに線を引いたところに必ずあります。

 ですので、怪しい場所は、この3か所!」

 僕は、マップに線上の指をなぞえながら、袋小路三つに〇をつけた。


「なるほど、なの。ヒビキ、すごい、なの!」

「流石、ヒビキ殿ですな」

「やると思ってたござる」

「ヒビキさん、信じてました」

「絶対、みつからんよ」

 目をらんらんと輝かせてる姫様だけしか、信じられないのは、

これまでさんざん彼女に振り回されてきた僕としては、不思議な気持ちだった。


「では、行きましょう!

 今は、ここですから、3つめを、右でお願いします」

「判ったなの。みんな付いて来る、なの」

 姫様は元気よく先頭で、歩き始めた。

 道を間違える度に、右だ左だと、後ろから指示をして、誘導していった。


 だが、半時ほど指示をだすと、本をみることができず、ゴールが判らないみんなは、

疑心暗鬼になったようで、口々に不満を漏らした。


「まだ、なの!!!」

「そうですじゃ、早く階段に導いてくだされ」

「ヒビキ殿、頼みますでござる」

「ヒビキさん、失望させないでくださいね!」

「やっぱり、にわか冒険者を信じるなんて……」

 僕は、やりきれない気持ちを抑えた。


 地図では、階段まであと一歩だった。

「まもなく、一個目のチェックポイントです。

 階段があるかもしれないところです。

 そこを曲がると……」

 

 先頭を進むと、姫様が歓喜の声が聞こえてきた。

「あったなの!言うとおりなの!

 ヒビキはすごい、なの!」

 みんなも、姫様の後に続き、階段を見に急いだ。

「ヒビキ殿を見込んだのは、わしじゃ」

「拙者は、最初からヒビキ殿ならと思ってたでござる」

「ヒビキさん、素敵です♪」

「ヒビキ殿は、わたしと同じで優秀ですな」


 顔が引きつるのが、抑えられないが、ツインテールの美少女が声に出して、

素直に褒めていることだけを考えることにして。

 心から喜ぶと、無事に階段が見つかったことに、

胸を降ろした。

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